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「国の復興支援…10年」 中越地震例に募る今後への不安
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山古志の復興の象徴とされた国道291号の橋。10年を経て、人口減など課題が表面化している
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「正直な話、がっかりして帰ってきた」。葛尾村長の松本允秀(76)が話すのは、2004(平成16)年の中越地震で被災した新潟県長岡市山古志地区(旧山古志村)を視察した感想だ。全村避難を経て復興した姿が「奇跡」ともいわれた同地区は、帰村のモデルにもなりうるはずだが、松本の目にはそう映らなかった。
同地区では、被災した幹線の国道291号が1年10カ月で通行可能になるなど迅速に復旧が進んだ。ただ、都市部に避難した若者らが戻らず移住が進んで、地区の人口は被災前の半数の1150人に激減、高齢化も急速に進んだ。地元関係者から「福島はもっと大変になるよ」と言われたことが、松本の耳に残った。
事業削減、縮小進行へ
新潟県などによると、復興支援員の雇用助成などで被災者を支援する公益財団法人・中越大震災復興基金に関する国の財政措置は、被災後10年の本年度で終了する。余剰金数十億円で当面事業は継続するが、今後は支援事業の削減や縮小が進む見通しだ。
山古志地区では医療機関への足となる無料コミュニティーバスが既に助成の対象外となった。「国はもう復興という考え方でなく、地域振興をどうするかという姿勢だ」。同市地域振興戦略部長の渡辺則道(51)は事情を明かす。
同地区の上田久江(74)は帰還の第1陣として自宅に戻ったが、最近は夫(76)がうつ気味で悩みの種だ。震災を機に別々に暮らす長男には以前のように頼れず、生活上の不便も増えた。一方で周囲の関心は薄れつつあるように感じられ、「みんなで頑張って復興に向かっているけど、外の人に『もう復興した』と思われても困るよね」と嘆く。
避難解除急がせる国
松本は「福島は放射能の問題があり、国も復興を長い目で見るだろう」と予測する。復興にはどうしても国の力が必要だと感じている。ただ、いつまで支援を得られるか。被災後3年余を経て避難指示解除を急がせる国の姿勢からは、「できるだけ早く避難者を少なくし、賠償金を抑えたい」という思惑が透けて見え、今後に不安も覚える。
松本は続ける。「今は復興の責任を国と県、市町村が分かち合っているが、国はそれを早く県や市町村に預けたいのだろう。国が復興を忘れる、それが怖い」(文中敬称略)
(2014年7月6日 福島民友ニュース)
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( 2014年7月6日付・福島民友新聞掲載 )
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