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未来にエール ふくしま教育応援団
【小泉政務官・本紙単独インタビュー】
「『人の復興』に全力」
福島支援“ライフワーク”

ふたば未来学園の夢語る

小泉政務官・本紙単独インタビュー

「『前例なき環境には前例なき教育を』」と話す小泉氏

 小泉進次郎復興政務官は31日までに、福島民友新聞社の単独インタビューに応じ、双葉郡の中高一貫校として来春開校する「ふたば未来学園高」について「(東京電力福島第1原発事故の)責任の一端は政治にある。私の責任の果たし方は、福島の復興に不可欠な『人の復興』に自分のできる全てを注ぎ込むこと」と述べ、同校の教育に全力を注ぐ意向をあらためて表明。さらに、第1原発の廃炉という極めて大きな課題を抱える本県への支援を政治活動のライフワークとして取り組む決意を明らかにした。
 インタビューでは、元首相の父純一郎氏の子育てにまつわる実体験やリーダー論などについても幅広く語った。
 小泉氏は、本県出身の俳優西田敏行氏(郡山市出身)ら16人と同校を支援する「ふたばの教育復興応援団」を結成している。「私たちは本気で向き合う。1回行って講演、意見交換して『またね』では講師で終わる。私たちは教師のような存在でありたい」と述べ、カリキュラムや部活動など総合的に参画する方針を示した。
 目指す学校像については「福島県、特に双葉郡の子どもは、望まなかったが多感な時期に世界でも例のない経験をした。その経験を力に変えられるようにするのが、大人のやるべきことだ」と指摘。「前例なき環境には前例なき教育を」をスローガンに、双葉郡の児童生徒が同校のアイデアを出し合う「子供未来会議」で掲げた〈1〉動く授業〈2〉世界と笑顔でつながる学校〈3〉小さな窓―の実現を柱とする考えをあらためて示した。
 小泉氏はまた、「子どもたちの夢をかなえるため、大人も自らを律して夢を語らなければいけない」と持論を述べ、「自分の描いている近い未来の夢は、ふたば未来学園高の1期生が卒業を迎える2018(平成30)年3月、彼らを日本全体でおめでとうと送り出すこと」と語った。

            ◇               ◇               ◇

 【小泉政務官単独インタビュー 聞き手:五阿弥(ごあみ)宏安社長・編集主幹】

 ―本県の復興を進める上で、子どもの視点が欠けているように思う。廃炉には30年、40年かかり、今の子どもの世代が将来的に復興を支えていく柱になるが、双葉郡の中高一貫校は復興のシンボルになるのではないか。「ふたばの教育復興応援団」のトップバッターとして、思いを聞きたい。
 「日本の戦後の歩みや今の私たちの生活の在り方を根幹から問い直させたのが東日本大震災と原発事故だった。戦後、政治家も一般の方々もみんなが戦後復興に頑張ったように、震災と原発事故からの復興のため、そのとき生きる日本人がどんな行動をとったのか、必ず後世から審判を下される。私の中の一つの答えは、復興とは『人の復興』であり、そのためには教育だ。応援団は『前例なき環境には前例なき教育を』という言葉に全部を込めた」

 ―メンバー選任の基準は。
 「中高一貫校にアイデアを出す子供未来会議で双葉郡の児童生徒から『こういう教育があったらいい』という声が届いた。どうやって実現するか、人材を考えた。子供未来会議にいくつかキーワードがあって、一つが『動く授業』。教科書に依存しない、教室の中にとどまらない授業を実現させてほしいと。それと『世界と笑顔でつながる学校』。在学期間中に海外体験をどうやってさせられるか」

 ―世界に通用する人材を輩出できればいいと。
 「子どもたちの可能性は無限大だ。その無限大の可能性を感じてもらうのが僕らの役割。だから、幅広い分野で、各分野のトップを走っている人たちに集まってもらった。子供未来会議では『小さい窓』というキーワードも出た。例えば女性宇宙飛行士の山崎直子さんが小さい窓なら、山崎さんという窓を通して、その先に広がる宇宙を見せてあげたい」

 ―小泉さんが父親から学んだこととは。
 「一点の曇りもない愛情を注いでくれた。自分がいつか親になったら、そういう親でなければいけないと思う。中学2年の3者面談の時、担任の先生が、おやじに『進次郎君にはもっとクラスでリーダーシップをとってもらいたい』と言った。そうしたら、おやじが言ったのは『先生、私は進次郎はそのままでいいと思う。私も父親が政治家で、父親を政治家に持つ進次郎の気持ちは分かる。おそらく良いことをやっても、悪いことをやっても目立つ。だからあまり前に出ないようにしようと思うのだろう』と。僕はその時の感動、衝撃は忘れない。自分のことをちゃんと見てくれていた。あとは、だめなものははっきりだめと言われたこと」

 ―会津の精神にもつながる。
 「そう、ならぬものはならぬものです、という精神」

 ―中高一貫校をつくる広野町には、住民は半分ぐらいしか帰還していない。背景には放射線の問題、心理的な問題もある。子どもたちが通う環境整備で対策は。
 「国も行政も正確な発信をしっかりやらなければいけない。双葉郡には、まだ事故収束にいたらない原発があって、放射線量に不安を持っている方が多くいる。そのことに目を背けて教育に当たってはいけない。山崎直子さんと話した時『宇宙飛行士は宇宙にいると、毎日1ミリシーベルト浴びる。だから宇宙飛行士は宇宙に行く前に、地球で教育と指導を受けて行く』という。専門家しか分からない言い方でなく、宇宙での実体験をもって放射線の正しい恐れ方などNASA(米航空宇宙局)仕込みの教育を、山崎さんならできる」

 ―過度に恐れることはマイナス。本県の子どもの体力、運動能力が震災前より落ちているのが気になる。
 「情報は発信し、一人一人がどう受け止められるか、リスクは正しく伝える。健康調査はしっかりやる。そうした取り組みを続けていく中で多くの方が理解し、学校に行こう、広野町に戻ろうという方を増やしたい」

 ―県内の子どもたち、親たちへのメッセージを。
 「政治家として発しなければならないのは、まずは心からのおわび。(原発事故を)起こした責任の一端は政治にある。政治家として責任の果たし方はどうあるべきか。僕は教育の部分で自分ができることの全てを注ぎ込む。同じ志を持った仲間たちが集まった教育復興応援団は、全員がライフワークとして取り組む。その覚悟と思いをぜひ感じてほしい。メンバーで東進ハイスクール講師の林修さんのように、興味を持たせる能力が非常に高い方が、県立の中高一貫校でノウハウやヒントを授けることができたら、夢の学校の一つになる」

 ―いろいろな人材に志望してもらうには、受け入れる環境づくりも必要だ。
 「新たな沿岸部の産業づくりを政府は力をあげてやらなければいけない。ロボットや医療産業など福島県はものすごく可能性がある」

 ―廃炉や汚染水の対策に約6000人の作業員が取り組んでいるが。
 「先日、実際に防護服を着てマスクをして現場を視察し、汚染水対策の現場で15キロもある防護用ベストも着た。熱中症の方が救急車で運ばれた現場にも遭遇した。毎日6000人が人知れず、いつ暴れ出すか分からない竜のようなものを何とか食い止めようと頑張っている。廃炉工程表通りにいけば、2020年東京五輪のころまでには全ての燃料はプールから取り出し、20年以降に核心の方へ、新たなステージに入る。五輪・パラリンピックが一つの到達点のように思っている人は多いが、時代をこえて関わる世代が、しっかり関心を持ち続ける必要がある。
 また、6000人の作業員のみなさんに、ねぎらいと感謝と尊敬を示す取り組みが必要なのではないか。あの震災、原発事故で、自衛隊のみなさんは信頼がすごく高まった。しかし、同じように感謝されていいはずの原発の最前線の作業員のみなさんに世の中の関心は低い。これは政治がもっと言っていかなければならない。これからの政治家は一つの義務として、あの現場を見るべきだ。自分たちは、福島県の将来、日本の将来を真っ白なキャンバスから描く次世代に渡す使命があると、現場をみて感じるべきだ」

 ―10月に知事選が行われる。あるべきリーダー像とは。
 「『夢なき者に成功なし』という。吉田松陰の言葉だと言われていて前段がある。『夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に夢なき者に成功なし』。大人たちが子どもたちの夢の実現のために必死に汗をかき、その姿を子どもたちが見て、自分たちもこういう大人になりたいと思う。大人たちからすれば、子どもたちがそう見てくれるように自らを律する、胸を張って子どもたちと関われる大人でなければいけないと緊張感を持てる。子どもたちの夢をかなえるために、大人たちも夢を語れる大人であってほしい」 

            ◇               ◇               ◇

 こいずみ・しんじろう 神奈川県出身。関東学院大経済学部卒、米コロンビア大大学院政治学部修士号取得。衆院議員秘書を経て2009年、衆院初当選、2期。昨年9月から内閣府・復興政務官。33歳。

(2014年9月1日 福島民友ニュース)



( 2014年9月1日付・福島民友新聞掲載 )
 

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