「国は地方の実態を把握した上で施策を実施してほしい」。3日の県町村会の県要望で、鈴木義孝三春町長が訴えた。農山村が多い県内の各町村は、高齢化や若年層の流出による人口減、後継者不足を抱えた農業の衰退などの課題を抱え行政運営に苦心している。
「農業が厳しい」「職場がない」「少子化が止まらない」。菅野典雄飯舘村長は、村の課題を説明する。そんな村が進めようとしているのが、「住民参画」の村政だ。村は、住民主体で作成した20行政区別計画に基づき、10年間で計1000万円の補助金を交付したり、生活道路の補修に村民が協力する「道普請事業」などを実施、村民の自立意識を高めている。菅野村長は「世代を超えて村民が互いに助け合う社会が地方自治の姿」と話す。
「小さな自治体だからこそ、できることがある」(菅野村長)という飯舘村のように、地方自治体の自由な裁量で、自立した地方自治を行うことが求められている。近年、国と地方の在り方が問われ、地方分権の推進が叫ばれてきた。2000(平成12)年の地方分権一括法で国から地方への権限移譲の推進が定めらた。三位一体の改革では個人住民税を対象に税財源が移譲されたが、国の補助金と地方交付税の削減で地方自治体の予算規模は年々縮小。一方で医療費などの扶助費は増え、市町村独自の行政サービスを行うための財源確保は厳しさを増す。
今回の衆院選では、地方分権の流れに各政党がどのように向き合おうとしているかが焦点の一つに挙げられている。マニフェスト(政権公約)で自民党は、都道府県から市町村への権限移譲や国の出先機関の廃止・縮小などを掲げる。民主党は権限移譲をはじめ、国補助金の地方自主財源への転換、国直轄事業負担金廃止を挙げる。公明党は地域主権型道州制の導入、共産党、社民党は地方交付税の復元・増額を訴える。
県町村会長の浅和定次大玉村長は「真の地方分権の実現に向け、市町村の地域性を尊重して足らざるものを伸ばすことが必要だ」と国政に求める。(おわり)
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