「脱原発」争点かすむ 県民は「復興」スピード重視
東京電力福島第1原発事故後、県内では初の国政選挙となった今回、県民は結果として原発政策について明確化していない自民党を選んだ。「脱原発」「卒原発」を主張する政党、候補者は多数出たものの、県民にとって最大の争点は「復興の行方」だった。復興施策のスピードを上げるためには「民主党より自民党」という方向性、政策を実現できそうな安定感を重視したとみられる。
ただ、自民県連は、原発事故後の県民の声に配慮し、県内原発の全基廃炉を求めている。一方、党本部は衆院選・重点政策で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す」という表現にとどめ、原発再稼働も「3年以内の結論を目指す」とあいまいにした。県連とは隔たりがある。県内原発の全基廃炉と再生可能エネルギーへの転換を促す本県や県議会の主張を、どこまで反映させられるかは不透明で、来夏の参院選に向けた課題となる。
一方、本県の復興のスピードアップに向けては、自民が選挙戦で打ち出した政権公約の具体化が鍵となる。自民は被災地の復興を優先するとしているが、具体的施策については詳細な説明は少ない。政権交代により本県復興に向けた施策は「仕切り直し」となり、衆院選で生まれた政治空白は一刻も早く取り戻さなければならない。新政権の被災地復興に向けた対応に注目が集まる。
(2012年12月17日 福島民友衆院選ニュース)
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