「本県の復興」政党公約比較 5党、国が財源確保を
14日投票の衆院選で、候補者を擁立する9党は選挙公約を掲げて舌戦を展開している。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの本県の復興について、各党はどのような姿勢で選挙戦に臨んでいるのか。〈1〉復興集中期間後の在り方〈2〉中間貯蔵施設〈3〉低線量被ばくに伴う健康管理〈4〉被災地の経済復興政策〈5〉「子ども・被災者支援法」への言及―の五つの項目で比較した。
◆復興集中期間後
直接言及したのは5党で、いずれも国が必要な財源を確保すべきと主張している。
自民は各種特例措置や制度の延長の可否を精査するとした上で「被災現場の実情や将来展望などに合わせた細やかな施策を展開できるよう必要な財源確保に努め、復興10年の後半に臨む」とした。
これに対し民主は「集中復興期間を延長し、被災地の復興に向けた施策をより強力に進める」とし、集中期間の延長を明確に打ち出している。
公明は「課題を見極め、個々の被災地域の実情、視点に立ち、将来に向けた展望・ビジョンに合わせた施策を展開できるよう必要な財源確保に努める」とした。
共産は「国が必要な復興財源を確保するとともに、住宅再建や被災者支援に地域の判断で使えるようにする」と指摘。社民は「集中復興期間の延長、復興交付金をはじめ国の特例的な財政支援を継続・拡充。被災地で進む公的支援の縮小に歯止め」とした。
維新は直接の言及はないが「道州制を視野に入れた権限や財源の移譲を進め、被災地はじめ東北6県の発意で復興と再生を実現する」とする。
◆低線量被ばくに伴う健康管理
原発事故で放出された放射性物質による低線量被ばくへの対策には、その手法で各党の見解が分かれた。
自民は「地球環境への貢献を」という項目の中で「国民が安心して暮らせる安全で豊かな環境を保全することは、政府としての基本的な務め」とした上で「子どもたちが健やかに育つ環境の実現に向け、エコチル調査により環境中の化学物質や放射性物質が発育に与える影響の解明に取り組む」としている。
民主は「長期の個人の被ばく線量の管理が一元的にできないため、国の責任で、個々人の被ばく線量を一元的に管理できるシステムを構築し、廃炉作業などの従事者の健康不安を解消する」と主張した。
公明は「低線量・内部被ばくの防止対策に万全を期しつつ継続的な健康調査を実施する」とし「避難区域見直しによる早期帰還の実現に向け、放射線に関する適切なリスクコミュニケーションを進める」とする。
共産は「子どもたちをはじめ、福島県民の健康を守るため、国が責任をもって長期の健康診断を実施する」とした。
社民は「国の責任で健康管理手帳を発給し、県外に移転した場合も含め検診・治療費について国と東電が負担する」としている。
◆中間貯蔵施設
言及したのは自民、公明の2党。
自民は中間貯蔵施設の整備を促進すると明記。汚染土壌の搬入については地元の理解と協力を得ながら安全で効果的な計画をつくり「来年1月の開始を目指す」としている。
公明は「30年以内に県外で最終処分を完了することや施設にかかる国の責任の明確化を前提に進める」と県外最終処分に言及した。そのうえで搬入は「15年1月開始を目指す」としている。
◆被災地の経済政策
自民は産業・生業の再生加速などを指摘した上で、特に本県について「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の実現に向けて、政府と一体で取り組む」と構想を重視している。
民主は「福島復興再生基本方針に基づき、再生可能エネルギー産業、医療関連産業などの拠点の創出・形成を進め、地域経済を活性化して雇用を創出する」と、再生エネと医療関連産業の振興を訴える。
維新は「被災地を中心に地方のまちづくりにおいて地産地消の自然エネルギーの供給とコジェネレーション(熱電併給)の先駆的なスマートコミュニティー整備事業を推進」とした。
公明は、浜通り地区の復興に向けた地域戦略を展開するため「福島・国際研究産業都市構想の早期具体化に向け、政府一体で取り組む」とする。
共産と社民は、各種制度による事業者支援を重視している。
◆子ども被災者支援法 自、公に記述なし
全党派一致で可決した「子ども被災者支援法」については、自民と公明は記述がなかった。民主、維新、共産、社民は同法に基づく被災者支援を明記した。
(2014年12月5日 福島民友衆院選ニュース)
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