被災地「置き去り心配」 衆院選・自公圧勝、県内一夜明け
全国的には自民、公明両党が圧勝した衆院選から一夜明けた15日、今なお震災と原発事故の影響に苦しむ県内の有権者からは、震災からの復興や原発政策が置き去りにされた選挙戦を振り返り「候補者の訴えが頭に入り込まなかった」「何かが変わるという“未来”が見えなかった」と不満の声が漏れた。「理由が分からない選挙」とする有権者もおり、迅速な復興を願う県民の心配は尽きない。
衆院選から一夜明けた15日に中間貯蔵施設の受け入れを表明した大熊町。建設予定地の同町小入野地区から会津若松市の仮設住宅に避難する根本充春さん(74)は5区で比例を含め2人の衆院議員が減ったことを不安視し「被災地が忘れられたようだ」とつぶやいた。行政区長でもある根本さんは、同施設の建設をめぐり、国が提示した土地の補償額に地権者が反発していることを懸念する。「浜通りは課題が山積している」。根本さんの表情が曇った。
「何かが変わる期待は持てない」。避難指示が続く南相馬市小高区で共同オフィスを運営するIT関連企業社長の和田智行さん(37)は「最後まで大義を見いだせなかった選挙」と切り捨てる。平日は小高区で仕事をし、休日に避難先の会津若松市に戻る生活。今月上旬には同区で食堂を開店した。「忙しい時間を縫ってまで投票する気にはなれなかった」。和田さんは、原発事故後に投票権を持つ選挙では初めて棄権したという。
相馬双葉漁協は強風で寒さが厳しい中、この日も試験操業を行った。汚染水問題など漁業者を悩ます事態が続いており、賀宝丸船主の三春智弘さん(55)は水揚げした魚介類を確認しながら「選挙中の約束は決して忘れず実行してほしい」と力を込めた。「東電には何も期待しない。国が矢面に立つべきで、衆院議員にもその覚悟を持ってほしい」。口調が厳しさを増した。
(2014年12月16日 福島民友衆院選ニュース)
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