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【 中 】
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組織の弱体化を懸念
終盤挽回もトップ許す
「よく戦ったというのが大半の役員の意見。(昨年の政権交代で)野党になり、初の国政選挙だったが善戦したと思う」。自民党県連幹事長の斎藤健治は12日、福島市で開かれた県連役員会で参院選をこう総括した。民主党候補にトップ当選を許したが、執行部の責任を追及する声は上がらなかった。昨年の衆院選で県内全小選挙区の議席を失った自民にとって、それだけ追い込まれた状況で迎えた参院選だった。
自民は公認候補を現職の岩城光英に絞ったが、県連内部には公示前から、「トップ当選」は困難との見解が大勢を占めた。ある県連幹部は「政党支持率で民主との間に歴然とした差がある中で2人擁立は無理。団体支援も一本化できない現状ではトップ当選は厳しい」と話した。政権交代後、これまでは自民候補のみを推薦してきた商工団体や農業団体の一部が、民主候補にも推薦を出すなど、野党転落による組織の弱体化が懸念された。
不安を抱えたまま突入した選挙戦。2人擁立の競争原理が働き、自民支持層や無党派層の激しい奪い合いを展開する民主に対し、自民は受け身の選挙戦を強いられた。県連は県議の後援会組織を軸とした票の掘り起こしを期待したが、動きが鈍い地域もあり、支持は伸び悩んだ。県内には国政選挙は「民主」、県議選は地縁関係などから「自民」を支持する有権者も多く、複雑な支持構造が県議を悩ませた。ある県議は「後援会を動かせば、県議選で票が減るかもしれないが、党人として覚悟を決めてやるしかない」と述べた。
選挙戦終盤、争点の消費税率の引き上げをめぐり民主への“逆風”が吹く中、岩城の陣営は昨年の市長選の影響で党総支部が分裂した地元のいわき市でも組織がまとまるなど、自民、公明支持層を中心に加速度的な票固めを進めた。県連副会長で岩城総合選対本部長の遠藤忠一は「参院選の選挙結果は、来春の統一地方選の基礎票の意味合いを持つ」と評価した。
斎藤と遠藤は14日、福島市内の建設団体など有力な友好団体を訪問し、参院選の支援に対する礼を述べ、今後の支援も確認する。斎藤は「団体の自民離れを指摘する声があるが、そのようなことはない。われわれ県議がしっかりとした関係を構築している」と話す。
来年4月の県議選で自民の「底力」が試される。(文中敬称略)
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