町長辞職で争点喪失 双葉町議選、「何のための選挙」
3日投票が行われた双葉町議選は、議会を解散した井戸川克隆町長が辞職を表明したことで、井戸川町政の是非という最大の争点が失われ、低調な選挙戦となった。
定数8に対し立候補者は前職8人と元職1人のみ。井戸川町政の継続を訴える候補者も、新たな方向性を唱える新人の出馬もなく、町民には新鮮さのない、町政刷新への期待感も薄い選挙だった。一方、3月10日投票で行われる町長選への出馬が有力視される候補者が複数いて、むしろ町長選の前哨戦としての意味合いさえ強まった。
全町避難の中で行われた2011(平成23)年11月の前回町議選から、まだ約1年3カ月。当選議員が町長選にくら替え出馬すれば落選者の繰り上げ当選の可能性も高く、実質的に落選者の出ない選挙に町民からは「何のための選挙か」と疑問の声が上がった。
原子力災害で役場機能を県外に移した井戸川氏と、県内に戻す意見が支配的な議会との対立は、中間貯蔵施設の議論への取り組み姿勢をめぐって頂点に達し、町長不信任につながった。ただ、議会を解散して町政継続に意欲をみせた井戸川氏がなぜ辞職表明したのか、町民への明確な説明はまだない。
町長と議会は町政運営の両輪とされ、特に全町避難の中で町民の生活再建や賠償に大きな役目を託されている。町議選では片輪が決まったにすぎず、次の町長選から目が離せない状況だ。
(2013年2月4日 福島民友・県内選挙ニュース)
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