内堀氏「転身」の握手 鉢村氏、事務所開けず無念
10月の知事選をめぐり、立候補を表明した前副知事の内堀雅雄氏(50)と、出馬を断念した元日銀福島支店長の鉢村健氏(55)。両氏は11日、福島市の県庁通りを隔てた会場で、それぞれ記者会見し、出馬に対する思いを語った。会場の距離はわずか数メートル。1時間差で開始した会見は明暗が分かれた。
内堀氏は11日午前、佐藤知事に決意を伝えた。「分かった。頑張れ」。佐藤知事は内堀氏と交わした握手にぐっと力を込めた。「これが政治家の握手なのか」。電流が走った。行政マンとして長年勤めた内堀氏は、政治家としては全くの素人。佐藤知事の握手から政治、選挙の奥深さを感じた。
午後4時前、秘書課の職員らに別れを告げ、会場のホテルへ。会見では決断までの心境や選挙への臨み方、仕事の理念など、普段の冷静な振る舞いとは打って変わり、熱っぽく語った。
内堀氏の会見終了から数分後、鉢村氏は後援会事務所になるはずだった建物で会見を開いた。広い室内には神棚とポスター。準備は着々と進んでいた。「事務所を開くこともできず、この日を迎えた。断腸の思い」。表明から1カ月に満たず断念した経緯を語る鉢村氏の表情は険しかった。
悔しさと憤りをにじませ「街宣車が来たこともあった」と自分を降ろそうとする動きがあったことも明かした。会見は、あえて掲示板に掲げるはずだった選挙ポスターの前で行った。「政策を話す機会もなかった。残念だ」と唇をかんだ。
(2014年9月12日 福島民友・県内選挙ニュース)
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