妊娠・出産歴は認知症リスクにプラスの影響も、ホルモン療法の認知への影響を再考する動き

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妊娠・出産歴は認知症リスクにプラスの影響も、ホルモン療法の認知への影響を再考する動き

AsiaNet 74489(1282)

【シカゴ2018年7月23日PR Newswire=共同通信JBN】
*性的アプローチはアルツハイマー病の診断精度を向上させる可能性

シカゴでの2018年Alzheimer's Association International Conference (AAIC) 2018(2018年アルツハイマー病協会国際会議)で報告された研究は、女性の出産歴と認知症リスクの初の大規模研究を含め、生涯における認知症やアルツハイマー病と関係のある性差を浮き彫りにした。
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▽2018年AAICで報告された新たな成果
*認知症リスクと子供の数、流産の数、初潮年齢、生殖期(初潮と閉経の間の年数)との間の関係性
*別の研究において、妊娠の累積月数とアルツハイマー・リスクとの相互関係
*ホルモン療法は認知に悪影響を与えるという長年の考え方の再考
*女性の早期発見を改善するため、認知評価に対する性的基準の必要性

Alzheimer's Association(アルツハイマー病協会)の最高科学責任者であるマリア・カリーヨ博士は「男性より女性の方がアルツハイマー病やその他の認知症にかかっている。アルツハイマー病にかかった米国人のほぼ3分の2は女性である」と語った。Alzheimer's Associationの2018 Alzheimer's Disease Facts and Figures(2018年アルツハイマー病情報)によると、米国のアルツハイマー病にかかった65歳以上の人々550万人のうち、340万人が女性で、200万人は男性だった。

男性よりも女性が、アルツハイマー病やその他の認知症にかかりやすい理由は、幾つかの潜在的な生物学的、社会的理由がある。一般的な見方は、女性は平均的に男性よりも長生きしており、加齢はアルツハイマー病の最大のリスク要因であるというものである。しかし、一部の研究では、アルツハイマー病を発症するリスクは、生物学的、遺伝的変異、もしくは教育や職業、心臓疾患罹患率のようなさまざまな人生経験により、女性の方が大きいということを示している。

カリーヨ博士は「この分野では、さらなる研究が必要である。生涯にわたる性特有のリスク要因をより良く理解することは、アルツハイマー病やその他の認知症にかかったさまざまな人口集団に対する特定の予防戦略を発見し、結果的に適用するのに役立つ可能性があるからだ」と付け加えた。

▽女性の出産歴と認知症リスクとの間の関連性
(注:当初の要約が2月に提出された後に作成された最新の分析を含む)

2018年AAICで報告されたように、出産歴と認知症リスクのさまざまな側面に関する米国初の大規模な疫学的調査の中で、パオラ・ヒルサンス博士(米カリフォルニア州オークランドのKaiser Permanente Northern California Division of Researchのスタッフ・サイエンティスト)、レイチェル・ウィットマー博士(カリフォルニア大学デービス校教授)と同僚は、認知症リスクと子供の数や流産の数、初潮時の年齢、自然閉経の年齢、生殖期(初潮と閉経の間の年数)との間の相互関係を発見した。1964-1973年における40-55歳の女性1万4595人からの自己申告データが審査された。

ヒルサンス博士は「女性の認知症の考えられる原因は、特に生殖要因は、よく理解されていない。われわれはこの研究で、女性が経験する認知症の過度の負担を減少させるのに重要な脳の健康に影響する女性特有のリスクや保護要因を特定することを目的とした」と語った。

研究者たちは、3人以上の子供を持つ治験対象女性が子供1人を持つ女性と比べ、認知症のリスクが12%低いことを発見した。これらの女性は、肥満度指数、脳卒中歴など、中年あるいは晩年の付加的なリスク要因を調整した後も認知症のリスクが引き続き低かった。

研究者はまた、流産や月経歴についても質問した。流産に関するそれぞれの追加報告は、流産の経験がないと報告された女性と比べ、認知症のリスクが9%高いことと関連があった。女性は平均して13歳で初潮、47歳で自然閉経を体験した。さらに、16歳以上で初潮を体験した女性は、初潮が13歳だったと報告した女性と比べ、31%もリスクが高かった。45歳よりも後に自然閉経を経験した女性と比べ、45歳以下で自然閉経を経験した女性は、人口動態の調整を受けても認知症リスクが28%高かった。

生殖期の平均的な長さは34年だった。生殖期が38-44年の女性と比べ、それが21-30年の女性は人口動態の調整後、認知症リスクが33%高かった。さらに生殖イベントと脳の健康との間の機構経路を評価するための研究が必要である。

▽女性の妊娠歴がアルツハイマー・リスクに影響か
(注:2月提出の原文抄録後になされた最新分析を含む)
高齢の英国女性133人の症例対照、横断的研究で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校人類学・精神医学・行動科学部のモリー・フォックス博士と同僚は、妊娠歴情報を収集してアルツハイマー病認知症の重症度を測定し、妊娠歴とアルツハイマー・リスクの潜在的関連性を評価して、その関係が免疫機能のためと考えられるかどうかを考察した。

研究結果は、妊娠月数、特に第1期の月々がアルツハイマー・リスクの重要な予兆であることを示唆している。研究陣はこの調査母集団の中で、他の女性に比べて妊娠月数が12.5%長い女性はアルツハイマー・リスクが約20%低いと報告した。

フォックス博士は「晩年のアルツハイマー進行に対して守るような方法で、妊娠が母体を再編成する可能性にわれわれは興味を引かれた。このような結果は、以前の研究者の説のように、全てをエストロゲン暴露に帰結させるほど単純な経緯ではないことも示唆している」と語った。

研究陣は、妊娠初期につくり出される免疫システムの持続的で有益な効果が、観察されたリスク軽減をもたらすという仮説を立てている。

▽ホルモン療法は必ずしも認知障害と関連しない可能性
AAIC 2018で報告された新研究は、影響力のあるWomen's Health Initiative-Memory Study (WHIMS、女性の健康イニシアチブ-記憶研究)とWHI-Study of Cognitive Aging (WHISCA、WHI-認知的加齢研究)の結果が、認知機能低下はホルモン療法に関連するとした以前の結果と異なる理由の解明を図った。

ウィスコンシン大学マディソン校健康衛生学部ウィスコンシン・アルツハイマー病研究センターのキャリー・E・グリーソン博士とハートフォード病院(ハートフォード)、ジョージ・ワシントン大学(ワシントンDC)の研究陣は、WHIMSとWHISCA以降に公刊された別個の2研究に注目した。Kronos Early Estrogen Prevention Study-Cognitive and Affective Study(KEEPS-Cogs)とEarly v. Late Intervention Trial with Estradiol-Cognitive Endpoints(ELITE-Cog)は以下のような結果を示した。

*50-54歳のときにホルモン療法を始めた女性の認知に悪影響はない。対照的に、65-79歳でホルモン療法を始めた女性は認知機能、作業記憶、実行機能の低下を示した。

*2型糖尿病でホルモン療法を受けている女性も、糖尿病患者ではないホルモン療法の女性や経年変化管理後にプラシーボ療法を施された糖尿病の女性と比較して高い認知障害リスクを見せた。

グリーソン博士は「このような結果は、脳に及ぼすホルモンの複雑な効果に対するわれわれの理解を深める。このデータは閉経移行後の女性のヘルスケアをガイドし、閉経症状の管理と将来の健康への悪影響防止に関し、女性が個別かつ情報に基づく決定を下すのにとても必要である」と語った。

▽女性が口頭記憶に優れていることがアルツハイマー初期を隠蔽か
イリノイ大学シカゴ校の女性・ジェンダー研究センター所長の精神医学・心理学教授であるポーリン・マキ博士とカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究陣は、Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(アルツハイマー病神経画像イニシアチブ)のデータを調査した。それは、正常の加齢期間に限らず、健忘型の軽度認知障害(aMCI)の期間でも、女性が言語と口頭アイテムの記憶獲得に優位にあることを示している。

アルツハイマー病の診断に最もよく使われるテストは口頭の記憶、単語リストの記憶、物語などの口頭素材に関連していることから、研究者は口頭記憶、脳の老化における性差、アルツハイマー病のプレゼンテーションと臨床コースでどう性差に関連するのか、もっと理解したいと望んでいる。

この研究では、3つの脳マーカー(海馬萎縮、脳代謝低下、皮質ベータアミロイド沈着)で測定された結果、疾患初期段階に女性が男性に比べ、アルツハイマー脳病理が軽度であるにもかかわらず、認知機能を維持しているらしいということが分かった。しかし、高水準の疾病負荷では、口頭記憶の女性の優位がなくなってしまう。

マキ博士は「これらの結果は、アルツハイマーと診断された後、幅広い認知能力をより急速に失う理由の説明に役立つ可能性がある。女性の優位は機能的に有益かもしれないが、アルツハイマーの初期を覆い隠し、診断時の深刻な疾病負荷とその後の急激な悪化をもたらす恐れがある」と語った。

ジェンダーに基づく診断手法を採用すれば、双方の性にとって診断の正確性が高まることになる。これは、女性の早期疾病発見を向上させる診断テストの男女別「カットポイント」など代替手法の必要性および価値を示している。

▽Alzheimer's Association International Conference(R)(AAIC(R))(アルツハイマー病協会国際会議)について
Alzheimer's Association International Conference(AAIC)はアルツハイマー病とその他の認知症に専念する世界中の研究者の世界最大の集まりである。Alzheimer's Associationの研究プログラムの一環として、AAICは認知症に関する新しい知識を生み出し、活気ある平等な研究コミュニティーを育成することを促進する役割を果たしている。

AAIC 2018ホームページ:alz.org/aaic
AAIC 2018ニュースルーム:alz.org/aaic/press

▽Alzheimer's Association(R)(アルツハイマー病協会)について
Alzheimer's Associationは、アルツハイマー病のケア、支援、研究において世界をリードするボランティア健康組織である。協会の使命は研究を前進させてアルツハイマー病を撲滅し、全ての患者へのケアと支援を提供、強化し、脳の健康の推進を通じて認知症のリスクを軽減することである。協会のビジョンはアルツハイマー病のない世界である。詳しい情報はalz.orもしくは電話800-272-3900まで。

*パオラ・ジルサンス理学博士、レイチェル・ウィトマー博士ら「Women's Reproductive History and Dementia Risk」(資金提供:米国立老化研究所)
*モリー・フォックス博士ら「Women's Pregnancy History May Influence Alzheimer's Risk through Alterations in Immune Function」(資金提供:ゲイツ・ケンブリッジ・トラストなど)
*キャリー・グリーソン博士ら「Hormonal Contributions to Alzheimer's Disease Risk in Women」(資金提供:米国立老化研究所)
*ポーリン・マキ博士ら「Hormonal Contributions to Alzheimer's Disease Dementia Risk in Women」(資金提供:米国立老化研究所、アルツハイマー病神経画像検査イニシアチブ、米国防総省)

ソース:Alzheimer's Association International Conference

▽問い合わせ先
Alzheimer's Association AAIC Press Office
+1-312-949-8710
aaicmedia@alz.org
Niles Frantz
Alzheimer's Association
+1-312-335-5777
niles.frantz@alz.org