AAIC(R) 2018で集中血圧治療が軽度認知障害と認知症の新症例を減らす初の臨床試験発表(下)

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AAIC(R) 2018で集中血圧治療が軽度認知障害と認知症の新症例を減らす初の臨床試験発表(下)

AsiaNet 74539(後半)(1312)

この研究結果は、アルツハイマー病ないし他の認知症のリスクがある、あるいは現在罹患している高齢のLGB+の個人向けの文化的に有益なヘルスケアおよび習慣の必要性を強調している。社会的孤立と、友人や家族介護者へのアクセスが往々にして制限されていることが懸念されるため、支援的なヘルスケア環境と介護リソースをつくり出す必要性が高まっている。

▽認知症患者の非認知症状の治療での暫定的成功と進行中の課題
アルツハイマー病に関連する記憶や思考症状は最もよく知られているが、興奮、不安、無気力、うつ、徘徊(はいかい)、不眠症、失禁、脱抑制といった認知症の行動・心理的症状は、しばしば介護の最大の課題であり、介護付き生活や介護施設への入所の主な要因となっている。こうした症状を治療せずに放置すると、衰弱を加速し、生活の質を低下させる可能性がある。

米食品医薬品局(FDA)は、現時点ではアルツハイマー型認知症患者のこれらの症状に対する薬物治療を承認していない。Alzheimer's Associationは、認知症関連行動の治療のための薬理学的治療の第1の代替手段として、非薬理学的アプローチを推奨している。こうした療法にはバリデーション療法、回想、およびその他の個別の心理社会的治療介入が含まれる。

AAIC 2018で報告された合成カンナビノイドであるナビロンの無作為化・二重盲検臨床試験で、アルツハイマー病患者の興奮に改善がみられたことは、それが中等度から重度のアルツハイマー病患者の興奮の治療に効果的である可能性を示唆している。感情的な発言や行動、精神的苦痛、情動不安、ペーシングなどの興奮は、アルツハイマー病の進行にかかわる最も一般的な行動変化の1つであり、介護者のストレスの大きな原因となる可能性がある。14週間超の試験期間中、39人の参加者(男性77%、平均年齢87)に6週間、カプセルタイプのナビロンを投与、続いて6週間、偽薬を投与した。各治療期間は1週間、間をあけて設定した。偽薬と比較してナビロンを服用している患者では、興奮が有意に改善した。多くの人が偽薬(16%)に比べナビロン(45%)で鎮痛状態を経験した。

注:マリフアナはアルツハイマー病やその他の認知症の治療ないしは管理のために米食品医薬品局(FDA)に認可されていない。現時点でアルツハイマー病認知症の治療あるいは関連の問題にマリフアナの使用を裏付ける確実で一貫した治験データはない。Alzheimer's Associationは、この分野における研究がさらに必要であると確信している。

▽AAIC 2018で報告された他の2件の研究
*10カ所の介護施設の43人を対象にした特別に設計された照明インターベンションに関する小規模な研究では、研究参加者が睡眠障害、気分の落ち込み、アジテーションの大幅な減退を示した。
*ゾルピデム、ゾビクロン、ザレプロンなどの「Z薬」は、高齢者の不眠症治療のために一般的に処方されるが、高齢の認知症患者への使用の場合には骨折リスクを40%高めることに関連し、高容量投与ではリスクが最大となる。Z薬の使用はまた、特に股関節骨折および死亡の大きなリスクと関連していた。このデータは、UK Clinical Practice Research Datalinkおよび3件の認知症患者臨床研究の分析から得られたものである。

認知症患者の睡眠障害やその他の非認知症状のために現在処方されている薬品に取って代わるより良い代替が必要とされている。

▽アルツハイマー病および他の認知症の臨床診断に関する新ガイドライン
アルツハイマー病および他の認知症の症状は、診断基準およびテクノロジーの20年以上の進歩にもかかわらず、あまりにも頻繁に正当に認識されないか、あるいは誤って示されるため、適切な診断やケアの遅延を引き起こし、有害かつ費用のかかる結果を招く。現時点では、かかりつけ医向け診断勧告でのコンセンサスはない。

AAIC 2018で報告されているように、Alzheimer's Associationが開催するワークグループは医師および看護師向けの20項目の勧告を作成し、現場の指導者からのインプットで磨きをかけて年内に発表することを目指している。この勧告は、症状を認識する取り組みの強化から、患者個人およびその介護者との思いやりのあるコミュニケーションに及んでいる。勧告の内容は以下の通り:

*自己報告するか、またはケアパートナーまたは臨床医が認知、行動、機能面での変化を報告するすべての患者個人は、評価を受ける必要がある。
*適切な評価なしに懸念を「通常の老化」として退けるべきではない。
*評価には、患者および臨床医だけでなく、ほとんどの場合、ケアパートナー(例えば、家族または親戚)も関与しなければならない。

目標は、1次と2次の両方の設定に関連する実用的で具体的な米国のガイドラインを提供することである。米国の医療従事者はこの勧告を基に、記憶、思考、コミュニケーションおよび人格の変化を評価し、認知障害の症状、アルツハイマー病または別の認知症と判定することができる。

▽腸内細菌および脂質代謝がアルツハイマー病および他の脳疾患にどのように影響するか
ここ数年の研究報告で、食事、特に全体的な摂食パターンが脳の健康、認知機能低下、および加齢に伴う認知症に関係する可能性があることが明らかになった。アルツハイマー病やその他の認知症に関連する炎症とそのマーカー(脳や体の他の部分)も見られた。新興科学は、腸内細菌の様々な変化を炎症性および自己免疫性の様々な状態と相関させた。そして、食事の変化が腸内細菌を変化させることができることが研究で明らかにされた。

AAIC 2018で報告された4件の新たな研究は、腸や肝臓の機能を含む消化器系が脳の変化、アルツハイマー病や他の認知症などの脳障害とどのように関連しているかを調査したものだ。

カリーヨ博士は「腸内微生物研究はまだ揺籃期にある中で、非常にエキサイティングだ。ダイエットや栄養が脳の健康にとなぜ重要なのかを示す新しい手掛かりを与えるかもしれないからである。この研究は、『良い脂肪』がどのように、またなぜ、脳の健康を維持し、脳の健康に良い食事の選択を導くのに役立つかについて、より多くのことを教えてくれるかもしれない」と語った。

カリーヨ博士は「さらに、これらの腸内細菌がアルツハイマー病の有効かつ正確なマーカーであることが判明した場合、単純な血液検査である非侵襲的スクリーニングツールとして有用な可能性がある。しかし、われわれは第1段階にいるにすぎない。それらの変化が何を意味しているのか、それが原因であるのか、それとも効果であるのか、正確にはまだ分かっていない」と述べた。

▽アルツハイマー病臨床試験での募集・参加のための国家戦略
National Institutes of Health(NIH)(米国国立衛生研究所)のNational Institutes on Aging(NIA)(国立老化研究所)の代表はAAIC 2018で、Alzheimer's Associationの助けを借り、National Strategy for Recruitment and Participation in Alzheimer's Disease Clinical Research(アルツハイマー病臨床研究での募集・参加のための国家戦略)の進展を報告した。これは研究サイトや研究者がアルツハイマー研究のボランティアを募集し保持するのに役立つ実践的で積極的なアプローチを概説するために招集された取り組みの一環である。地方レベルでは、アフリカ系米国人コミュニティーで活動する2件のアルツハイマー病研究募集プログラムはAAIC 2018で、Alzheimer's Association TrialMatch(R) (https://www.alz.org/alzheimers-dementia/research_progress/clinical-trials/about-clinical-trials )への登録を含む成功した努力と方法を報告した。

▽Alzheimer’s Association International Conference(R)(AAIC(R))(アルツハイマー病協会国際会議)について
Alzheimer’s Association International Conference(AAIC)は世界中のアルツハイマー病とその他の認知症に専念する研究者の世界最大の集まりである。Alzheimer’s Associationの研究プログラムの一環であるAAICは認知症に関する新しい知識を生み出し、活気ある共同研究コミュニティーを育成するための触媒の働きをする会議である。

AAIC 2018ホームページ: alz.org/aaic
AAIC 2018ニュースルーム: alz.org/aaic/press

▽Alzheimer's Association(R)(アルツハイマー病協会)について
Alzheimer’s Associationは、アルツハイマー病のケア、支援、研究において世界をリードするボランティア健康組織である。同協会の使命は研究を前進させアルツハイマー病を撲滅し、すべての患者へのケアと支援を提供、強化し、脳の健康の推進を通じて認知症のリスクを軽減することである。同協会のビジョンはアルツハイマー病のない世界である。詳しい情報はalz.or もしくは電話800-272-3900まで。

ソース:Alzheimer's Association International Conference

▽問い合わせ先  
Alzheimer's Association AAIC Press Office
+1 312-949-8710,
aaicmedia@alz.org

Niles Frantz
Alzheimer's Association
+1 312-335-5777
nfrantz@alz.org