研究で集中的な血圧管理は軽度認知障害(MCI)とMCI・認知症の複合リスクを軽減することを発見(上)

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研究で集中的な血圧管理は軽度認知障害(MCI)とMCI・認知症の複合リスクを軽減することを発見(上)

AsiaNet 74540(前半)(1311)

【シカゴ2018年7月25日PR Newswire=共同通信JBN】
*さらにアルツハイマー病研究のゲノム解析はプレシジョンメディシンのアプローチを実現する可能性がある

積極的な最高血圧抑制を通じて軽度認知障害(MCI)(注)およびMCIと認知症の複合リスクを大幅に軽減することが、シカゴのAlzheimer's Association International Conference ( https://www.alz.org/aaic/about/overview.asp )(AAIC))2018(2018年アルツハイマー病協会国際会議)で報告された連邦政府資金のSPRINT MIND研究による新しい成果として初めて示された。

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Wake Forest School of MedicineのInternal Medicine and Epidemiologyのジェフ・D・ウィリアムソン内科医学・伝染病学教授(医学博士)は「これは単独のMCIおよび併発したMCIとあらゆる原因の認知症のリスクを軽減できることを実証した初の無作為抽出の治験である」と語った。ウィリアムソン教授はAAIC 2018でこの結果を報告した。

今回の大規模かつ長期にわたる治験の結果は現時点で、世界で循環器疾患の主要原因の1つである高血圧の治療を通じてMCIおよび認知症のリスクを軽減する最も有力な証拠を提供している。

Alzheimer's Association(https://www.alz.org/ )のチーフサイエンスオフィサーであるマリア・C・カリーヨ博士は「この研究は、MCIおよび認知症のリスク、特に循環器疾患のリスク要因を軽減するために可能であることを、これまでになく決定的に示した。世界でMCIおよび認知症の新しい症例を減少させるため、われわれ専門家も個人もできることはなんでも行い、この研究で指示されたレベルまで血圧を下げなければならない。このレベルは心血管系リスクにも役立つと考えられている」と語った。

カリーヨ博士は、今回の研究結果が西側先進国の新しい認知症症例の減少を示す最新の人口データと合致することを指摘した。これらの社会が薬物療養管理、喫煙の抑制、健康なライフスタイルの意識向上を通じて循環器疾患のリスク要因のコントロールを向上し始めたことで、認知症発症率が低下しているとみられる。

Alzheimer's Associationは最近の研究証拠に基づき、10 Ways to Love Your Brain(自分の脳を大切にする10の方法)(https://www.alz.org/help-support/brain_health/10_ways_to_love_your_brain )を提案している。

カリーヨ博士は「将来はMCIおよび認知症を少なくすること目指し、現在心疾患で行っているように、薬品と修正可能な危険因子インターベンションを組み合わせて全人格を治療する可能性がある。新しい血圧に関する研究結果によって、複数要素のライフスタイル・インターベンションの一環としての循環器疾患のリスク要因管理を盛り込んだU.S. POINTER研究への期待が高まっている」と語った。

Alzheimer's Association U.S. Study to Protect Brain Health Through Lifestyle Intervention to Reduce Risk(U.S. POINTER)(https://alz.org/us-pointer/overview.asp )はAlzhiemer's Associationの資金提供による2年間にわたる治験で、ライフスタイル・インターベンションが高い認知リスクを抱える高齢者の認知機能を認識衰退から守ることができるか否かを評価している。このインターベンションには運動、栄養カウンセリング・改善、認識および社会的な刺激療法、健康状態に関する自己管理向上などが含まれている。

▽集中的な血圧管理は新たな軽度認知障害(MCI)とMCI・認知症の複合リスクを軽減:SPRINT MIND Study
ウィリアムソン教授とその同僚はAAIC 2018でSystolic Blood Pressure Intervention Trial(SPRINT)(https://www.nhlbi.nih.gov/science/systolic-blood-pressure-intervention-trial-sprint-study )からの認知症および認識減退のリスクに関する暫定的な研究結果を報告した。SPRINTは高齢者の高血圧(高血圧症)の管理に関する2つの戦略を比較した無作為抽出の治験である。それは、最高血圧を120 mm Hg以下の目標とする徹底した戦略と、最高血圧を140 mm Hg以下の目標とする標準的な治療戦略である。これまで、SPRINTは血圧管理をより徹底すれば心血管疾患の罹患率と死亡率のリスクを軽減できることを実証した(NEJM, 11-26-15)。SPRINTは2017 American Heart Association and American College of Cardiologyの高血圧治療ガイドラインに情報提供することに寄与した。

SPRINT Memory and Cognition IN Decreased Hypertension(SPRINT MIND)は低血圧目標の治療が認知症ないしはMCIの発現リスクを軽減し、磁気共鳴映像法(MRI)で映し出される脳内の白質病巣の総量を減らすかどうかを調べた。

研究参加者は心血管系リスクが高いものの糖尿病、認知症、発作経験のない9361人の高血圧症高齢者だった。参加者の平均年齢は67.9歳(35.6%が女性)で、8626人(92.1%)が少なくとも1回は追跡認知評価を完了した。SPRINT MINDの1番目の結果はインシデントな推定認知症だった。2番目の結果では、MCIとMCIないしは推定認知症の複合結果が含まれた。それぞれの結果は、それぞれの治療グループに参加した人に左右されない専門パネルによって判定された。

SPRINTへの募集は2010年10月に始まった。1年目の最高血圧の平均は集中治療グループが121.4 mmHg、標準的治療グループが136.2 mmHgだった。治療は3.26年の中間追跡の後、循環器疾患(CDV)ベネフィットのために2015年8月に終了したが、認知評価は2018年6月まで継続された。

インターベンション-NEJM, 11-26-15によると、「すべての主要な種類の降圧剤が処方に含まれ、参加者に無料で提供された。SPRINT治験担当医師はその他の降圧剤(研究では提供されなかった)も処方した。この手順は、義務ではなかったものの、チアジドタイプ利尿薬(第1選択薬として推奨されている)、ループ利尿薬(進行性の慢性腎疾患を患う参加者向け)、ベータアドレナリン・ブロッカー(冠動脈疾患を患う参加者向け)を含め、心臓血管発症の削減を示す有力な証拠を伴う薬剤クラスの使用を推奨した」

「参加者は最初の3カ月は月ごとに、その後は3カ月ごとに診察を受けた。集中治療グループの参加者向けの投薬治療は、最高血圧を120 mm Hg以下に抑えるように月単位で調整された。標準的治療グループの参加者向けの投薬治療は、最高血圧を135から139 mm Hgに抑えるように調整され、最高血圧が1回目の訪問の際に130 mm Hg以下の場合と2回連続の訪問で135 mm Hg以下の場合には投薬量を少なくした。ライフスタイルの変更は、管理戦略の一環として奨励された」

SPRINT MINDで、研究者は集中的な血圧治療グループにおいて新しいMCI症例が19%低下する統計上の有意性(p=0.01)を発見した。MCIとあらゆる原因による推定認知症を合わせた発症は、集中治療グループが標準的治療グループとの比較で15%低かった。推定認知症だけでは有意性のある減少はなかった(HR=0.83, p=0.10)。

有害事象-NEJM, 11-26-15によると、「重篤有害事象が集中治療グループの1793人(38.3%)の参加者と、標準的治療グループの1736人(37.1%)の参加者で起きた(集中治療の危険率、1.04; P=0.25)。低血圧、失神、電解質異常、急性腎損傷、急性腎不全の重篤有害事象は、標準的治療グループよりも集中治療グループで頻繁に起きたが、ケガを伴う転倒や徐脈はなかった。診療訪問の際に評価された直立性高血圧は、集中治療グループでは極めてまれだった。集中治療グループの計220人の参加者(4.7%)と標準的治療グループの118人の参加者(2.5%)には、インターベンションに関連性の可能性がある、ないしは直接関連すると分類される重篤有害事象が生じた(危険率、1.88; P<0.001)(しかし、グループによるSAEの総計は異ならなかった)。75歳以上の参加者で治療による有害事象の重大性および差異のパターンはグループ全体の参加者と同様だった。

ウィリアムソン教授は「これらの研究結果は、とりわけ50歳以上の人にとって血圧の適切な管理の維持の必要性を裏付けている。SPRINT MINDの注目すべき特徴は参加者の30%がアフリカ系米国人、10%がヒスパニック系であることである」と語った。

ウィリアムソン教授はさらに「これは、医師や高血圧を抱える地域在住患者の大半は自らの心臓と脳を健康に保つことに専念すべきであることを示している。認知上の健康を維持するためのこの新しい研究結果は、中年の健康なライフスタイルを変え、それを維持するためのもう1つの有力な根拠を提供している」と語った。


CONTACT: Alzheimer's Association AAIC Press Office, +1 312-949-8710,
aaicmedia@alz.org, Niles Frantz, Alzheimer's Association, +1 312-335-5777,
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