研究で集中的な血圧管理は軽度認知障害(MCI)とMCI・認知症の複合リスクを軽減することを発見(下)

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研究で集中的な血圧管理は軽度認知障害(MCI)とMCI・認知症の複合リスクを軽減することを発見(下)

AsiaNet 74540(後半)(1311)

▽SPRINT MIND MRIの結果
フィラデルフィアのペンシルベニア大学のイリヤ・ナスララ医学博士はAAIC 2018で報告された関連部分の要約の中で、脳の磁気共鳴画像(MRI)のために募集されたSPRINT MIND参加者673人の暫定結果を報告した。主な結果には、全白質病変(WML)量と全脳容積(TBV)の変化が含まれていた。フォローアップMRIは、無作為化後3.98年の中央値で454人(67.4%)の参加者が確保できた。

このサブスタディでは、WML量は両方の治療群で増加したが、集中治療群では有意に少なかった。全脳容積の変化に有意差はなかった。

* 集中治療グループのWML量の増加が0.28cm3だったのに対し、標準治療グループでは0.92cm3だった(平均差=0.64cm3、p=0.004)。
* 集中治療グループのTBV減少は27.3cm3、対して標準治療グループでは24.8cm3だった(平均差=2.54cm3、p=0.16)。

白質病変は、しばしば小血管疾患の兆候であり、脳卒中、認知症および死亡率がより高くなるリスクの増加に関連している。白質病変は、血管性認知症のリスクを増加させると考えられているが、アルツハイマー病のリスク要因の可能性もある。認知症の人は、アルツハイマー病と白質病変を同時に抱えているのかもしれない。研究では、人々が疾患関連脳変化の1つ以上のタイプを有するとき、認知機能への影響がより大きいことが実証されている。

▽ANAVEX(R)2-73によるフェーズ2aアルツハイマー病研究のゲノム解析は、精密医療のアプローチを可能にするかも
パリのソルボンヌ大学神経科教授のハラルド・ハムペル医学博士(MD, PhD, MA, MSc, AXA Research Fund & Sorbonne University Excellence Chair, Department of Neurology, Sorbonne University, Paris)は「精密医療には、患者固有の生物学的性質にカスタマイズした適切な治療を、適切な時期に施すことが含まれる」と語る。

精密医療は、遺伝子、環境、ライフスタイルまでも考慮し、特定の患者の状況やニーズに合わせた治療、診察を行う、医療のカスタマイズ化、個別化を重視している。オーダーメード医療と呼ばれることもあるが、これはがんや呼吸器疾患では一般的なアプローチである。

ハムペル氏とその同僚はAAIC 2018で、アルツハイマーの臨床試験での精密医療に一歩近づく革新的な試みの結果を報告した。Anavex Life Sciences(AVXL)は、軽度から中等度のアルツハイマー病患者32人に、選択的シグマ-1受容体作用薬であるANAVEX(R)2-73を使用し、57週間のフェーズ2a試験を実施し、全試験参加者の完全なゲノムDNA、RNAを分析、3万3311の遺伝子と860のパスウェイの分析結果をもたらした。

同社は、ANAVEX(R)2-73の標的であるSIGMAR1と記憶機能に関与する遺伝子であるCOMTを含む、この薬への反応に影響を与えたいくつかの遺伝的変異体を特定した。彼らはさらに、こうした変異体のある患者(試験グループの最大20%)を除いた残りの約80%で、代表的な認知症テスト(MMSE)と日常生活活動(ADCS-ADL)のスコアが改善したとの結果を見出した(p <0.05)。

*より軽度の疾患(ベースラインMMSE20)を有する参加者を含め、SIGMAR1変異体のある患者を除くと、57週目にMMSEが1.7、ADCS-ADLが3.9改善された。
*さらにCOMT変異体のある患者を除外すると、57週目にMMSEのスコアが2.0、ADCS-ADLのスコアが4.9改善された。

ハムペル氏は「この研究は、腫瘍学分野における標的療法の成功に続き、アルツハイマー病でも『誰にでも効く特効薬』の開発から脱却する、エキサイティングな一歩が踏み出されたことを示すものだ。われわれは、精密医療のアプローチにより、アルツハイマー病の原因と進行の重要な兆候をより正確に治療、予防することができると考えている。われわれは、この新たなアプローチを用いたいくつかの研究が、現在計画中あるいは進行中であることに注目している」と語った。

同社によると、こうした患者選択マーカーはANAVEX(R)2-73の今後のフェーズ2b / 3試験で実施される予定。

▽Alzheimer's Association International Conference(R)(AAIC(R))(アルツハイマー病協会国際会議)について
Alzheimer's Association International Conference(AAIC)は、アルツハイマー病とその他の認知症に専念する研究者の世界最大の集まりである。アルツハイマー病協会の研究プログラムの一環であるAAICは認知症に関する新しい知識を生み出し、活気ある共同研究コミュニティーを育成するための触媒の働きをする会議である。

AAIC 2018 ホームページ: alz.org/aaic
AAIC 2018 ニュースルーム: alz.org/aaic/press

▽Alzheimer's Association(R)(アルツハイマー病協会)について
Alzheimer's Associationは、アルツハイマー病のケア、支援、研究において世界をリードするボランティア健康組織である。同協会の使命は研究を前進させアルツハイマー病を撲滅し、すべての患者へのケアと支援を提供、強化し、脳の健康の推進を通じて認知症のリスクを軽減することである。同協会のビジョンはアルツハイマー病のない世界である。詳しい情報はalz.or もしくは電話800-272-3900まで。

*軽度認知障害(MCI)- MCIは、記憶や思考能力を含む認知能力のわずかな、しかし顕著で測定可能な低下を引き起こすが、その変化は日常生活や自立機能を妨げるほど深刻ではない。MCIを有する人は、アルツハイマー病または別の認知症を発症するリスクが高い。しかし、MCIは必ずしも認知症につながるわけではない。一部の人々は、MCIから正常な認知に戻るか、安定したままである。

**認知症 - 記憶喪失および日常生活を阻害するほど深刻なその他の認知能力の一般的な用語。認知症は特定の病気ではない。一群の症状を説明する用語である。アルツハイマー病は認知症症例の60-80%を占める。脳卒中の後に起こる血管性認知症は、2番目に一般的な認知症のタイプである。甲状腺の問題やビタミンの欠乏など可逆的なものも含め、認知症症状を引き起こす可能性がある要因はそれ以外にも数多くある。

***アルツハイマー病とアルツハイマー型認知症 - アルツハイマー病は、記憶、思考および行動に問題を引き起こす認知症の1つのタイプである。症状は通常、ゆっくり進行し、時間とともに悪化し、日常の仕事を阻害するほど深刻になる。アルツハイマー病における神経細胞の損傷および死滅の主要因と考えられているのは、プラークとタングルと呼ばれる2つの異常な構造である。プラークは、ベータ・アミロイドと呼ばれるタンパク質片の沈着物であり、神経細胞間の隙間に蓄積する。タングルは、細胞内に蓄積するタウと呼ばれる別のタンパク質のねじれた繊維である。記憶障害、人格変化、日常活動を行うに際しての問題、アルツハイマー型認知症のその他の症状を引き起こすのは、神経細胞の破壊、死滅である。

    -- Jeff Williamson, MD, MHS, et al. A Randomized Trial of Intensive Versus
       Standard Systolic Blood Pressure Control and the Risk of Mild Cognitive
       Impairment and Dementia: Results from SPRINT MIND. Funder(s): U.S.
       National Institutes of Health (NIH), including the National Heart, Lung
       and Blood Institute (NHLBI), National Institute of Diabetes and
       Digestive and Kidney Diseases (NIDDK), National Institute on Aging
       (NIA), and National Institute of Neurological Disorders and Stroke
       (NINDS); U.S. Department of Veterans Affairs.

    -- Ilya Nasrallah, MD, PhD, et al. A Randomized Trial of Intensive Versus
       Standard Systolic Blood Pressure Control on Brain Structure: Results
       from SPRINT MIND MRI. Funder(s): U.S. National Institutes of Health,
       including the National Heart, Lung and Blood Institute, National
       Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, National
       Institute on Aging, and National Institute of Neurological Disorders
       and Stroke; U.S. Department of Veterans Affairs.

    -- Harald Hampel, Prof., MD, PhD, et al. Full Genomic Analysis of ANAVEX(R
       2-73 Phase 2a Alzheimer's Disease Study Identifies Biomarkers Enabling
       Targeted Therapy and a Precision Medicine Approach. Funder: Anavex Life
       Sciences Corp.

    -- Harald Hampel, Prof., MD, PhD, et al. Systematic Processing of Full
       Genomic Analysis of ANAVEX(R)2-73 Phase 2a Alzheimer's Disease Study
       Identifies Biomarkers Enabling a Precision Medicine Approach. Funder:
       Anavex Life Sciences Corp.

ソース:Alzheimer's Association International Conference

▽問い合わせ先
Alzheimer's Association AAIC Press Office
+1 312-949-8710,
aaicmedia@alz.org

Niles Frantz
Alzheimer's Association
+1 312-335-5777
nfrantz@alz.org