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▽4  【07 3/8掲載】
高信 由美子さん(矢祭町職員)
高信 由美子さん(矢祭町職員)
 「老眼鏡を掛けても本は読めるが、本を読む大切な年齢があると思う」と話す高信さん=もったいない図書館の絵本コーナー
 
図書館の夢を実現/ずしりと重い33万冊
 矢祭町のJR東舘駅南側。元柔剣道場に隣接した書庫の建築が急ピッチで進む。元柔剣道場は1月、真新しい町立図書館としてオープンした。家庭で眠っている本を譲り受け貸し出す全国でも例のない「矢祭もったいない図書館」だ。
 図書館をつくりたいが、財源がなく十分な図書購入費が捻出(ねんしゅつ)できない。悩んだ町が昨年夏から本の寄付を呼び掛けると、全国から33万冊を超す本が届いた。「もの余り日本」の矛盾を突く「快挙」と、行政視察も300件を超した。「20年後、30年後、この図書館が、あって当たり前のものと思われては困る。それだけ、ずしりと重い」。同町自立グループ長の高信由美子さん(56)は感慨深げに言う。
 高信さんは図書館の生みの親の1人。昨年、福島市での講演会で話した「もったいない図書館の夢」に反響が上がった。実現を強く勧める人もあって町がゴーサインを出した。「だけど、まさか33万冊なんて夢にも思わなかった」
 1951(昭和26)年2月、矢祭町の生まれ。厳密には団塊の世代より若い世代だが「気持ちは同じ。自分では団塊の一員と思っている」。前任者と同じことをやるのは嫌い、いつも夢みたいなことを考えている―と自己分析する。
 高校卒業後、就職した町役場で早速、その型破りぶりを発揮した。夫栄一さん(58)とは職場結婚。昭和40年代、結婚すると妻は役場を退職するのが「しきたり」だったが共働きを通した。「『辞めろと言われたら裁判しよう』が夫のプロポーズだった」
 風当たりの厳しさも十分に経験した。産休明けで出勤すると、たまたま給料日。「女はいいな」と言われトイレで泣いた。
 「けれど、負けん気は強い」。現在は、商工会スタンプ券での公共料金納付や「出張役場」など独自事業を連発する町にあってらつ腕を振るう。「ある事業費を削ったら『女町長きどり』と怪文書が出たが、町長に『中途半端に出てる杭(くい)だから打たれる。打たれないくらい出ろ』と怒られた」と言う。
 図書館の夢は、そんな逆風を吹き飛ばし今、住民を突き動かす。斎藤守保館長ら行政サポーター会を中心に連日、ボランティアが運営や本の整理に汗を流す。「百年後、矢祭からノーベル賞受賞者が出る―と話している。夢を語らなければ成功はないから」
矢祭町 茨城県と県境を接する東白川郡の本県最南端の町。「平成の大合併」が進む中の2001(平成13)年、町議会が「市町村合併をしない矢祭町宣言」を全会一致で決議、「自主自立」の道を選んだ。人口6946人(2月1日現在)。
 


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