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▽7  【07 3/11掲載】
遠藤 由美子さん
(奥会津書房編集長)
「本づくりは厳しい。でも使命が終わらない限り出版できる−という確信がどこかにある」と話す遠藤さん=三島町・奥会津書房
 
出版継続へ使命感/自世代への「落とし前」
 只見川沿いの町、三島。中心地の宮下の街から川へ下りる坂の途中に「奥会津書房」はある。地元の生活文化の掘り起こしにこだわる小さな版元。元温泉宿の中にある編集室では、編集長の遠藤由美子さん(57)がスタッフと今夏刊行する新刊書「会津学Vol・3」の編集に追われている。部数は1500部。遠藤さんは「誰かが読んでくれると希望を持って送り出す。本はそういうもの」と言う。
 遠藤さんは1949(昭和24)年生まれ。故郷の三島で中学まで過ごし郡山の短大を卒業後、東京、横浜を中心にフリーライターとして活動した。
 会津に戻ったのは91年。特産のからむし織で地域振興を目指す昭和村から移住を誘われた。断るつもりで訪れた村で、伝統の技法が息づく織物とそれを作る人々に心が震えた。
 「住民が連綿と伝えてきた文化には、精神的なものを含め、とても大切なものがある。それも、遠くから見ているのと、そこで生きていく覚悟を持って見るのとではまったくの別物。それを教えてくれたのが村のお年寄りたちだった」
 しかし95年、「奥会津書房の原点」ともいえる昭和村を去り三島へ移った。経済性と、文化を伝えることの「折り合い」の難しさに挫折したと言う。
 書房設立は、遠藤さんが三島町の広報委員時代。町の四季をつづった本を出そうと町に掛け合ったが、返答は芳しくない。それで有志と編集までを手掛ける組織を立ち上げた。県から補助を受け刊行したのが「奥会津」シリーズ。98年から3年間で5冊出した。
 住民の言葉を丹念に聞き書きした最終巻「奥会津−生きる」は、インタビュー集「伝言」や「会津学」など、その後の出版につながった。2004年には仲間たちと「会津学研究会」を設立した。目指すのは「時代が変わっても変わらない人間の核の部分の掘り起こし」という。
 経営は楽ではない。しかし、遠藤さんは「使命が終わらない限り、本は出版し続けられる−という確信がどこかにある」と言う。
 「われわれの世代は、いろんなものを平気で切り捨てた。残ったのは偽物ばかりで、子どもたちを取り巻く状況は驚くほど深刻。だから使命があるとすれば、その『落とし前』を付けること。その方法として私たちは出版を選んだ。本をつくるしかないんです」
 奥会津書房 1998(平成10)年、住民による生活文化の掘り起こしを目指す出版活動を掲げ非営利出版グループとして始動。「BOON文化シリーズ」全5巻をはじめ会津学研究会の活動成果をまとめた「会津学」を刊行中。
 


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