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▽10 【07 8/30掲載】
いわき市

有賀敬四郎ふるさと誘致センター理事長から「移住コンシェルジュ」の委嘱を受ける移住者や住民たち=6月、いわき市

 
田舎暮らし体験好調/課題は移住後のノウハウ
  「スタートした7月は1、2組。それが8月に入り毎週数組ずつに増え、毎回参加している人もいる」。IWAKIふるさと誘致センターの事務局を担当する、いわき商工会議所の小野英二経営企画チーム課長(44)は声を弾ませる。都市住民に田舎暮らしを体験してもらおうと同センターが主催する「ふるさと暮らしお試しプラン」の好調さに「忙しい」と悲鳴さえ上がる。
 同センターは、同商議所が中心となり2006(平成18)年九月に発足。「お試しプラン」のほか、都内での「ふるさと暮らしセミナー」開催や、移住希望者への就職情報、不動産情報の提供などを手掛ける。
 これまで受けた相談は延べ200件。市内への移住者は少なくとも9組と、上々の滑り出しだ。ただ、この成果も、センターがすべて生み出したわけではない。土台には、行政や住民が10年来取り組んできた蓄積がある。
 いわきは、都市住民が農山漁村を訪れ交流する「グリーンツーリズム」の先進地。10年ほど前から都市住民を呼び込もうと田人、川前など市内の中山間地で住民組織が結成され、県や市と共同して農業体験ツアーなどに取り組んできた。
 移住者も着実に増えた。同市田人町の多田秀男さん(72)は千葉県松戸市から移り住み4年。その後に開いたパン工房が話題を呼び、移住に関する相談も多い。
 同センターは今、こうした先輩移住者の力を借りる試みにも着手した。多田さんら九人を「移住コンシェルジュ(案内人)」に任命、新たな移住者を支える体制を固める。多田さんは「移住者が、地域の人と腹を割って話せる関係づくりを助けたい」と言う。
 ただ、小野課長は慎重に言葉を選ぶ。「商議所が定住・二地域居住の推進に乗り出したのは、経験や技術を持った人たちを首都圏から連れてきて、中小企業で活躍してもらったり起業してもらいたいから。まだ手探りの状態」
 ハローワーク平によると、市内の55−59歳の有効求人倍率(常用フルタイム)は5月時点で0.30。3人の求職者に対し求人は1件弱。多田さんは「東京で職のない人が来てもだめだが、同時に移住者が実績を生かせる環境がないと、地方に人は来ない」と話す。「ふるさと回帰」の潮流がうねる中、地方は移住後のノウハウづくりを迫られている。(第3部おわり)
 グリーンツーリズム 農林水産省の定義では、緑豊かな農村地域で自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。過疎などの問題を抱える地方で、交流人口を増やし地域振興を図る方策として取り組まれている。
 


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