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▽1 【07 11/21掲載】
大量退職

職場のパソコンに向かう武藤総務部長。幹部職員が退いた後、若手の比重が一気に増す職員のレベルアップが課題という=会津若松市役所

 
経験と技“消失”危機/熟練者補う人材育成 激変の余波行政も直面
 定年退職の期日を年度末に定めた職場では来年3月末、団塊の世代が最初の定年を迎え「大量定年時代」が本格的な幕を開ける。高度経済成長期後半の1970年代、官公庁や企業が大量採用した団塊の世代を先頭とする若者たちがベテランとなり、今後約10年間で職場を後にする。これを受け、急激な人材の「新陳代謝」が見込まれる職場では、ベテランから若い世代への技能やノウハウの継承に躍起。同時に、退職金と豊富な余暇時間を持ったシニア層が大量に誕生し、市場の拡大に期待を寄せる業界もある。団塊の世代を送り出す職場の取り組み、新しい消費者層を待ち構える業界の動きを探った。
 戦前に建てられた会津若松市役所の本庁舎。その一室で執務に当たる武藤裕一総務部長(59)は1948(昭和23)年生まれの団塊の世代。同市が、それまで長く途絶えていた職員の定期採用を再開したのが1972(昭和47)年度。武藤部長は、その再開1期生。同期には現職部長が顔をそろえる。「前の年代がぽっかりと空いていたので、比較的若い時から部長職に就く人が多かった」と武藤部長は話す。
 そのベテランたちが本年度からの3年間で定年を迎える。同市の定年退職者数(推計)は本年度34人、来年度と2009年度が各38人と、この前後の年度のほぼ倍。武藤部長が定年を迎える来年度は、部長職だけで9人が退く。
 大学生だった団塊の世代が社会に出たのが70年前後。「その70年からの10年間は、行政の予算規模が急激に膨張した。物価上昇もあったが、事務量が急増したのは確かで、福祉予算が増えるなどサービスの質も変わった。財政担当者は予算編成に工夫を凝らそうと腕を振るった」と、福島市の梅津裕収入役(59)は当時を振り返る。梅津収入役も71年度入庁した団塊の世代。財政畑が長く、行政の激変を肌で感じてきた。
 同市では、70年度に約70億円だった一般会計の予算額は、80年度には約400億円と5.7倍に増大した。歳入面では、公共事業などに使われる国庫支出金は8倍、市債による借入額も7.4倍。歳出面では、普通建設費が5.3倍、福祉などに振り向けられる扶助費が8.1倍に増えた。
 「増える予算で学校の鉄筋化や道路整備、福祉施策を急速に進めた。当然、増える事務をこなす人手も大量に必要になった」と、梅津収入役は職員の大量採用の背景を説明する。
 その大量採用世代が、会津若松市と同様、福島市でも定年に差し掛かる。72年度採用組の多くが60歳になる2009年度から3年間は、その前後の年のほぼ倍の100人前後が職場を退く。人件費も、退職がピークの10年度には前年度に比べ約2%、4億円程度増加する見通し。
 両市とも職員の世代交代と、05年度から進めている定数の削減で、人件費の増加は一時的なもので終わり、長期的には圧縮が進むという。しかし「これからはベテランの経験と技を補う人材育成が一層大きな課題になる」と武藤部長も梅津収入役も声をそろえる。
 大量定年 官公庁などの大量採用は、1970年ごろから第1次オイルショック後の75−76年度を除き、ほぼ10年間続いた。就労率を本県平均の6割とすれば、県内ではこの間に社会人となった推計約19万3000人が、今後10年間で還暦を迎える。
 


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