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▽2 【07 11/22掲載】
技術継承(上)

後輩たちに捜査の技術や心構えなどを説く蛭田さん

 
活躍する刑事伝承官/退職後、委嘱受け後輩指導
 「警察の仕事は、現場の判断が最も重要。目の前の出来事や通報が事件なのか、そうでないのか、その判断やタイミングをはずすと、失敗につながる」。県警OBの蛭田義勝さん(62)=福島市=は、「現場が基本」と、かんで含めるように話す。
 蛭田さんは現職時代、捜査畑を27年間歩いた元刑事。定年退職した後、昨年4月から「古巣」からの委嘱を受け警察学校や県内の一線署などを講師として飛び回る。講義内容は長年、現場で培った捜査技術や警察官の心構え。県内唯一の「刑事伝承官」が、蛭田さんの肩書。
 高度経済成長の下で採用された世代が退職する大量定年時代。大半の企業では、不況時のリストラや継続雇用導入で退職者数は平準化され、集中することはないといわれる。しかし、大規模なリストラを経験していない官公庁では、ベテランが一斉に退いた後、組織力やサービスの低下を防ぐため、ベテランから若手への「技能継承」が大きな課題になっている。
 警察も例外ではない。県警本部によると、本年度の定年退職者は約80人。来年度からの9年間は、さらにこれを上回り毎年100人以上が定年を迎える。本年度から10年間の定年退職者数は推計約1200人。現在、約3200人いる職員のうち約4割が10年間で入れ替わる計算。
 この急激な組織の「新陳代謝」を前に県警は4月、現場での対応をより実践的に学ぶ現場想定式(ロールプレイング)を警察学校の実習に導入したほか、優秀な人材を確保するため現職警官が母校で就職説明などを行うリクルーター制度を導入した。
 こうした制度と並んで期待が高いのが、蛭田さんが務める刑事伝承官。警察学校での講義や、各署の要請を受け出掛ける「出前教養」は、昨年度が82回、受講者数は若手を中心に延べ2100人。本年度は11月中旬までで42回、延べ1700人と、講義のない週はない。
 「『今の若い者は』と言われるが、警察の若い人は基本的に優秀で、経験がないだけ。経験を伝えるのは難しいが、問題意識と探求心、やる気があれば人は育つ。プロは結果を残さなければ駄目だが『ゆっくり急げ』という言葉もある」。ベテランの指導がきょうもさえる。
 刑事伝承官 警察庁による「強い警察の確立方策の総合的推進」通達を受け、県警が1993(平成5)年度から導入。退職した経験者を再雇用し、蛭田さんは5代目。現職が務める技能指導官も現在、刑事や少年など19種で27人が指導を行っている。
 


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