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▽3 【07 11/23掲載】
技術継承(下)

若手社員が手にした製品を鋭い目つきで吟味する佐藤部長=二本松市・サンライト

 
町工場の「技」脈々と 若手の教育、人材育成は急務
 福島市との境に近い二本松市渋川にある部品メーカー「サンライト」。車載用機器のコントロールパネルなどを生産する工場内には、プラスチック成型や印刷・塗装、レーザー加工、組み立てなどの生産ラインごとに、いくつもの最新機器が並ぶ。
 プラスチック成型の機器が稼働する工場の一角で、佐藤芳和技術部長(60)=福島市=が、出来上がった部品に厳しい視線を注ぎ、担当の若手社員に「異常はないか」と声を掛ける。
 団塊の世代の佐藤部長はプラスチック成型のベテラン。高校卒業後、大手メーカーの関連会社に就職したのは、家電製品の市場が急速に拡大を始めた昭和40年代初頭だった。
 新商品に不可欠な新しい部品や新素材の開発が進む中、佐藤部長も20代前半、大手企業の研究所で樹脂の開発にかかわった。県職業能力開発協会の技能検定員も20代から務める。今や県内屈指の指導者だ。
 その大ベテランが同社に入社したのが2年前。社員の過半数を占める30代以下の若手の指導をと、旧友の先代社長に請われた。以来、社内では毎日、佐藤部長を囲み若手の勉強会が開かれている。
 「『問題の原因はこうなんだ』と、現場で製品を見ながら毎日、繰り返す。技術を継承するためには、それをやっていかないと」と佐藤部長。吉田大樹社長(32)も「海外との価格競争に勝つため大きな設備投資が必要な業界。製品は機械がつくっていると思っている人もいる。しかし最後は、人間の目と技が製品の質を決める。ベテランにはその経験を伝えてほしい」と話す。
 同協会によると、民間企業では団塊の世代の大量定年による顕著な影響は見られない。大企業ではリストラなどで毎年の退職者数が平準化され、大企業以外でも継続雇用が導入され始めた。ただ、中小・零細企業では、大量定年と並行して進む少子化で一層、人材確保が難しくなるのは確実。技能継承を含め人材育成は急務という。
 こうした状況を受け同協会内には昨年4月、技能継承等支援センターが設置された。しかし、若手教育に力を入れる中小・零細企業は多くない。同協会の相談員は「まだ、ぴんと来ていない企業が大半。分かっていても教える人、場所、時間、金がないのが実情」と危機感を募らせている。
 技能継承等支援センター 厚生労働省が、団塊の世代の大量定年による熟練技能の現場からの喪失を防ぐため、2006年度、実践的な人材育成と技能継承に関する総合的な情報提供と相談援助を目的に、各都道府県の職業能力開発協会に設置した相談窓口。
 


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