【 避難生活と順応(7) 】 今の生活は「非日常」

 
【 避難生活と順応(7) 】 今の生活は「非日常」

「外からの視点を持って、大人が子どもを支える必要がある」と話す千葉学類長

 子どもたちは、震災、原発事故後の福島に順応しながら学校生活を送る。「大震災後の福島県の教育復興を進める会」事務局の千葉養伍福島大人間発達文化学類長(53)に現状や課題を聞いた。

 --震災から3年10カ月となり、子どもたちの生活は。

 「もとより、子どもは大人より順応性が高い。被災直後と比べれば『落ち着いた』と言えるだろうが、それはさまざまな見方ができると思う」

 環境に合わせた側面

 --「順応すること」がはらむ問題は。

 「良く言えば『落ち着いた』が、言い換えれば、今の生活が『普通』になりがちだ。では、今の生活は、いつと比べて『普通』なのか。子どもは主体的に順応したというより、環境に合わせた側面が強い。大人がそれを、しっかり理解して支える必要がある」

 --具体的には。

 「被災後に落ち込んだ子どもたちの運動能力は、徐々に改善しているとされるが、生活習慣を取り戻すまでには至っていない。例えば、避難してバス通学する子どもは、日常的に歩く機会を失ったままだ。バスの時間に合わせて帰宅するため、部活動ができない、放課後に遊べないなど友達同士の関係づくりにも影響するだろう。しかし、それが『日常』になっている」

 --避難先では十分な環境が整わない側面がある。

 「仮設住宅では自分の部屋が持てず、騒ぎたい、動きたい年ごろでも周りに人がいて気兼ねしてしまう。避難元の自治体が学校を再開しても、人数が少なく部活動の種目が制限されるなど諸事情がある。環境が子どもたちに与えている影響は大きい」

 地域との関わり重要

 --大人は子どもたちをどう支えていけばいいのか。

 「子どもには『日常』でも、大人が外からの視点を持ち、今の生活が非日常だと意識する必要がある。子どもの成長には地域と関わり合うことも重要。ただ、避難に伴い関係が崩れているケースも目立つ。避難前の関係を切らないようにしたり、避難先で新しい人間関係を築いたり、地域とつながり続ける機会を大人が積極的につくり、子どもを巻き込んでいくことが大切だ」=「避難生活と順応」おわり