【 ストレスと向き合う(1) 】 自分守れる子を育む

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 「私、皆勤賞目指してたんだから」。白河市大信に住む愛由子(あゆこ)(11)は毎朝、電車とスクールバスを乗り継いで郡山市の小学校に通う。「以前は、宿題をするのをうっかり忘れただけでも、学校に行きたくないって言っていたのに。へこたれなくなったなあ」。娘の言葉を頼もしく思いながら、母深希子(みきこ)(41)は震災、原発事故後の歳月に思いをはせる。

 2011(平成23)年3月11日午後、小1だった愛由子は妹望々子(ももこ)(5)と2人だけで家にいた。激しい揺れが起きた時、避難訓練を思い出した愛由子は妹を掘りごたつの中に入れ、自分も潜り込んだ。割れた食器が散乱した室内で、姉妹は親の帰りを待った。

 「赤ちゃん返り」現れ

 愛由子が心に受けた震災の衝撃は「赤ちゃん返り」として現れた。妹を押しのけるようにして母に抱っこをせがんだ。母の腕にかみついたことも。学校生活上の不安、ストレスにもつながっていった。「学校に行きたくない」と口にすることも多かった。

 昨年8月、猪苗代町の国立磐梯青少年交流の家。「福島の子ども希望プラン」と題した講座に、母やきょうだいと参加する愛由子の姿があった。

 2泊3日の講座は、NPO法人ハートフルハート未来を育む会(郡山市)が主催。不安やストレスへの対処法「ストレスマネジメント」や、放射線の知識、栄養バランスが取れた食事、健康を保つ運動法などを総合的に学ぶ内容。各分野の専門家が子どもにも分かりやすく指導した。

 地震や津波による心の傷や放射線への不安に負けない、心と体の健康を自己管理できる子どもを育むことを目指している。「『守られる子』から『自分を守れる子』へ」。震災、原発事故4年目に新たに始めた事業に、同会理事長の臨床心理士成井香苗(62)はそんな思いを込めた。

 〈ストレス反応→不安 イライラ 体調不良 不眠〉

 ストレスマネジメントの講座で愛由子は、「ストレス反応」の種類などを解説する講師の説明に熱心に聞き入り、たくさんのメモを取った。

 「私もみんなと同じ」

 「ストレスは誰でも抱えるもので、当たり前。私もみんなと同じなんだな」。愛由子は講座でそう学んだと、深希子には思える。

 講座後、いやなことがあっても、すぐには投げ出さないようになった。最近、母に将来の夢を語った。

 「私がそうだったように、ストレスで苦しんでいる子どもを助けたい。臨床心理士になりたい」(文中敬称略)