【 ストレスと向き合う(2) 】 外遊び時間一時制限

 
【 ストレスと向き合う(2) 】 外遊び時間一時制限

「福島の子ども希望プラン」の放射線講座で、愛由子さんが取ったメモ。放射線の種類などについて書き取った

 「分かった!」

 ストレスへの対処法や放射線の知識などを子どもたちに学んでもらうため、猪苗代町で昨年8月に開かれた総合的な学びの講座「福島の子ども希望プラン」。参加した後、望々子(ももこ)(5)は母深希子(みきこ)(41)にそう言った。

 「何が分かったの?」

 「『ホットなんとか』に近づいちゃいけないんだよね。あとは元気に遊んでいいんでしょ?」

 ホットスポット理解

 局所的に放射線量が高い「ホットスポット」のことだね--。深希子は、望々子が「希望プラン」の放射線講座の内容を子どもなりに理解しているのを感じ取った。

 白河市大信の自宅は、田んぼが広がるのどかな地域。自然があふれ、花の季節になると望々子はヒメジョオンやオオイヌノフグリを摘み、コップに入れ、大好きだった曽祖父の仏壇に供える。

 そんな生活に、放射線が影を落とした。「いったん入っておいで」。自宅の除染が行われた2013(平成25)年11月まで、深希子は30分たつと、外で遊ぶ子どもに声を掛けた。制限は遊びだけでなく、さまざまな野外活動に及んだ。「幼稚園の芋掘り、できなくてかわいそうだね」。望々子の姉愛由子(あゆこ)(11)は、震災、原発事故後に幼稚園に通った弟と妹にそう言った。

 放射線の性質を解説

 親子で参加した「希望プラン」の講座で、講師は放射線の一つ「アルファ線」を紙で遮る実験などを行い、性質を分かりやすく解説。理科好きの愛由子は、放射線の種類などを詳しくメモした。ホットスポットについては、講師はスライドでこう示した。

 〈・さかみちやくぼんだところの水たまりのドロや土をさわらない。・ドブやミゾのドロ、土をさわらない〉

 この冬、子どもたちは自宅近くでかまくらを作ったり、そり滑りを楽しんだりした。遊び時間が制限されるストレスは、今はない。

 震災、原発事故から間もなく丸4年。時間の経過や「希望プラン」への参加をきっかけに、子どもたちは「自由」を取り戻しつつある。「いろんなことを経験して。そして将来、福島で育ったことを自信にしてほしい」。深希子はそう願っている。(文中敬称略)