【 ストレスと向き合う(4) 】 心の運転方法学んで

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 「自分のいいところ、ぱっと言える?」。昨年秋、白河市の小田川小、6年生の教室。大阪大特任准教授で臨床発達心理士の望月直人(37)が問い掛けると、子どもたちは、はにかみ笑いを浮かべ、友達と顔を見合わせた。

 「あれぇ、ないの? いいところは生活の中でできていることだよ。今朝、顔洗ってきた人」

 全員手を挙げる。

 「ほら、あるやん。書いてみて」

 震災、原発事故を受け福島大に設置された「子どものメンタルヘルス支援事業推進室」が行う心理教育「こころの授業」の一幕。望月は同室の事業に協力し、同校を訪れた。

 「特別じゃなくていい」

 「いいところ」を探したのは、子どもたちに自己肯定感を高めてもらい、心の安定につなげるため。「特別なものでなくてもいいんだ」と気付いた吉田絢音(12)は、配られたプリントに「清掃の班で、下級生の世話をしている」と書いた。

 「こころの授業」は、子どもに問題が起こってから対処するのではなく、心の回復力や現実の問題に対応する能力を予防的に養うのが目的。同室が昨年4月の発足から同12月までに、希望のあった県内小、中学校、高校など38校142クラスで実施した。

 避難の影響見え隠れ

 同室は「こころの授業」のほか、個別の巡回相談も各校で実施する。トラウマなど震災、原発事故の影響に関係する相談は少ないが、同室特任助教の野村昂樹(たかき)(30)は「相談の対象とはならなくても、放射線不安による活動の制限や、避難による環境変化などの原発事故の影響は全県で見え隠れしている」と語り、表面化しにくい子どもの心の変化に注意すべきと指摘する。

 小田川小の授業で望月は、気持ちの切り替えの仕方も指導した。「テレビのチャンネルみたいに、『イライラ』とか『悲しい』を『うれしい』にピッと変える。これは練習していくことで上手になります」

 鈴木愛佳(12)は「お母さんに怒られてイライラしてしまうことがあるけど、きょうは気持ちのコントロールの仕方がちょっと分かった」と感想を話した。

 「少しずつ、心の運転上手になっていこう」。望月が子どもたちに呼び掛けた。(文中敬称略)