【 甲状腺検査(5) 】 20歳前後"低い受診率"

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 「検査は継続して受けたいと思う。でも、仕事が忙しくなったらどうなるかな」

 福島明成高3年の藤沢遥(18)は今春、高校を卒業して千葉県で働き始める。仕事に買い物に恋愛に。県外での生活に夢が膨らむ。甲状腺検査の大切さは、今は頭の片隅にあるが、今後どうなるかは自分でもよく分からない。

 遥はもともと、検査への不安は強くない。昨年9月、2巡目の検査(本格検査)を学校で受け、5ミリ以下のしこり、20ミリ以下の嚢胞(のうほう)(体液がたまる袋)とされるA2判定を受けた。自宅に通知が届いたが、説明文を見て、母親と「まあ大丈夫だよね」と言葉を交わしたことを覚えている。学校でも判定結果が話題になったが、友達にも気軽に結果を聞けたし、深刻な雰囲気はどこにもなかった。

 千葉では松戸市のパン工場に勤める。仕事の忙しさはまだ分からない。ただ、将来の夢は、県内に戻り農業関係の会社を起業すること。そのためにも、会社の仕組みを一から学びたいと思っている。夢の実現には勉強する時間も必要だ。検査を受けるなら、できれば気軽に行ける範囲に病院があってほしい。

 難しい県外での周知

 「子どもの健康を長期にわたり見守ること」を目的に始まった甲状腺検査。しかし、検査対象者の年代が上がると受診率が下がる課題に直面している。県外で就職、進学する人の住所の追跡、検査の周知が難しいことが背景にある。県外で検査を受けられるのは95医療機関(2月27日現在)。一層の拡充を求める声もある。昨年末現在の1巡目の検査(先行検査)の1次検査受診率は全体で81.2%だが、現在20歳前後となる事故当時16〜18歳の世代では51.9%まで下がる。県は市町村と連携し現住所の確認作業など対策を練るが、越えるべきハードルは高い。

 5年間隔に機会減少

 甲状腺検査の間隔は、20歳までは2年に1度だが、それ以降は5年に1度で、検査を思い起こす機会が少なくなる。遥は、甲状腺検査を十分に理解しているわけではない。だからこそ「考えるきっかけになる検査を受診することは、大切なんだ」と、今は思う。(文中敬称略)