【 甲状腺検査(7) 】 がん過度の心配不要

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【 甲状腺検査(7) 】 がん過度の心配不要

子どもの甲状腺がんについて「過度に心配する必要はない」と指摘する宮内氏

 甲状腺がんや甲状腺検査の現状について、甲状腺疾患専門の隈病院(神戸市)院長でアジア内分泌外科学会理事長の宮内昭氏(69)に聞いた。

 --甲状腺検査をめぐる県内の現状をどう考えるか。

 「『チェルノブイリと比べ、福島では農産物などに出荷制限がかかったため被ばく量は少ない』とする専門家の推測は妥当。しかし、福島ではいまだに一部の地域で放射線の影響から山菜が採れないなどの不安が残る。『がん』という言葉で不安になる人もいる。大事なのは、子どもの場合、甲状腺がんが見つかり、たとえリンパ節や肺への転移があっても、死ぬケースは少ないこと。きちんとした治療をすれば長く生きられる場合がほとんどだ」

 --甲状腺がんの特徴は。

 「見つかったのが大人か若年者かで、がんの性質が異なる。高齢者の場合、経過が悪くて亡くなるケースもある。若い人は、リンパ節や肺への転移が高齢者と比べればやや多いが、過度に心配する必要はない。従来の臨床データによると、小児や若年者では年齢が上がるにつれ、甲状腺がんの患者数は急激に増加する。福島で見つかっているがんも、この傾向を踏まえ評価する必要があるだろう」

 --福島医大の検査は一部から「過剰診断」と指摘された。

 「過剰診断を心配するなら、全く検査しないとの選択肢もあっただろうが、住民の不安を考えれば検査しないわけにいかなかった。検査を始めたからには、同じ基準で行うことが重要。これまで見つかったがんは適切な範囲で治療がなされていると思う」

 --今後の課題は。

 「小児で(大きさが)1センチ以下の低リスクの甲状腺微小がんを経過観察したデータはほとんどない。私の病院では成人の場合、微小がんが見つかっても、患者の9割が手術ではなく経過観察を選択する。当初はがんへの先入観で手術が多かったが、医師の意識と説明方法が変わり、患者が納得した。福島の場合は検査対象者が30万人以上で、医師が一人一人と面談するわけにはいかない。そのため、正しい情報の発信は一層重要だ。受診率を見ると、集団検診ができない県外への進学者らの対策も課題で、継続して検討すべきだろう」=「甲状腺検査」おわり