古里へ高まる関心 育ちの場縮小、求められる地域力再生

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古里へ高まる関心 育ちの場縮小、求められる地域力再生

 震災と原発事故は学校や家庭、地域など、子どもたちの「育ちの場」に大きな変化をもたらした。このうち地域に目を向けると、古里から離れた地で生活を余儀なくされた避難中の子どもはもちろん、避難区域外でも原発事故直後の避難などが少子高齢化に拍車を掛け、子どもと地域との関係がいっそう希薄になった地域もある。

 少子高齢化や地域コミュニティーの縮小、崩壊は全国的な課題だが、震災と原発事故はそれらの課題を急激に進展させた。本県を「課題先進県」とみて、将来的に同様の事態に直面する恐れのある全国各地域に発信できるよう、先駆的な取り組みを進めるべきという意見もある。

 子どもたちは従来、勉強面など学校で課題を抱えても、地域の大人に認められたり、褒めてもらったりして自己肯定感を高めることができた。【グラフ1】は、本年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で「自分には良いところがあると思いますか」という質問への回答について、本県と全国とを比べた結果。小、中学生とも「良いところがある」とした子どもの割合は全国平均を下回る。この傾向は震災以前から続いており、子どもが自らの良さを発揮し、自信をつける機会を確保することは本県では特に意義がある。「地域力」の向上・再生が求められている。

 一方、震災と原発事故は、従来は当たり前の存在だった身の回りの地域、古里に対する子どもたちの関心を高める結果ももたらしたとされる。双葉郡の小、中学校が古里などについて学ぶ「ふるさと創造学」に取り組むなど、地域へのまなざしを促す取り組みも増えた。【グラフ2】は全国学力テストで、「地域や社会を良くするために何をすべきかを考えることがありますか」と質問し、同様に本県と全国とを比べた結果。小、中学生とも地域を思う子どもの割合は全国よりも高かった。

 震災と原発事故は子どもたちの運動能力の低下などを引き起こした。福島大うつくしまふくしま未来支援センターで子ども支援に取り組む本多環(たまき)特任教授(52)は「地域には子どもたちが抱えている課題に気付き、実態に応じて支援できる、人生経験豊富な人たちがたくさんいる。この4年間に子どもたちが培うことができなかった能力を取り戻すためには学校や家庭だけでなく、地域での教育が有効だ」と指摘する。

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 震災と原発事故で様変わりした地域の中で生きる子どもたちの姿や、育ちの場を取り戻そうとする地域住民の取り組みを追う。