【 地域へのまなざし(4) 】 防災教育の成果提言

 

 「災害から大切な人を守れる、温かい地域にしていきましょう」。3月14日、仙台市で開かれた国連防災世界会議の関連シンポジウム。飯豊小(相馬市)の同級生5人と共に壇上に上がった岩崎由芽花(ゆめか)(12)は、国内外から訪れた約700人の聴衆を前に、地域の防災意識を高める方策など、この1年間学んできた防災教育の成果を発表した。

 「つながりを大切に」

 由芽花は昨年9月、地域の防災訓練に参加した。自力で避難できないお年寄りなどにとっては、いざというときに支えてくれる周囲の人の存在が欠かせないと、消防団員が教えてくれた。「普段から地域のつながりを大切にしておかないとだめなんだ」。災害に備え「温かい地域」をつくるべきと学んだ。

 防災の授業には、地域の人が講師に招かれた。地元の消防士は、岩手県釜石市の小、中学生が独自の判断で巨大津波から逃れた「釜石の奇跡」について教えてくれた。

 「地域住民の防災意識を高めたい」という学習目標は、子どもたち自らが掲げた。「震災経験から『地域を守らなきゃ』という思いが芽生えたのだと思う」。担任だった泉翔子(31)は子どもたちの思いを語る。

 防災や復興に、子どもたちの提案を取り入れるべき--。仙台市で5日間にわたり開かれた世界会議で、日本ユニセフ協会などいくつかの団体は、行政が作る計画への子どもたちの「参加」を訴えた。

 県の計画も参加促す

 県が3月23日に発表した本年度からの子育て支援計画「ふくしま新生子ども夢プラン」では、2013(平成25)年度に行ったアンケートで、県民の41.1%が「子どもたちが意見を大人や社会に提案することを、積極的にするべき」と答えたことを指摘。「『自分たちの意見で社会を変えられる』と答える子どもたちを増やしていくことが大切」として、子どもや若者のまちづくりへの参加を促す方針を盛り込んでいる。

 震災、原発事故を機に地域社会に目を向けられるようになった子どもたちの思いを、どう施策に反映させるか。議論はまだ途上だ。

 シンポジウムで発表した飯豊小の児童は、保護者らを招いた発表会でも防災教育の成果を発表した。「地元の人たちに防災について考えてもらいたい」。由芽花は目を輝かせて語った。(文中敬称略)