屋外授業「一部困難」25% 震災後、小学校・県北で目立つ

 
屋外授業「一部困難」25% 震災後、小学校・県北で目立つ

 県内小中学校に震災と原発事故後の状況を聞いたアンケート調査(昨年11月〜今年1月)で、プールや自然観察などカリキュラム(教育課程)の実施に「一部困難がある」と回答した学校は中学校より小学校に目立ち、小学校全体の24.6%を占めた。特に県北の小学校では4割が「一部困難」と答えた。調査を行った県内市町村の教育委員会などでつくる「大震災後の福島県の教育復興を進める会」は、保護者の放射線不安に伴う野外活動制限の影響が大きいとみており、原発事故から4年が経過しても学校現場への影響が続く現状が浮かぶ。

 カリキュラム実施についての調査結果は【グラフ】の通り。原発事故に伴い避難先で再開した学校は、現在所在する地域の学校としてグループ分けした。

 実施が困難な理由として「畑や学校田で作物を栽培することが難しい」など保護者の放射線不安に起因するとみられるもののほか「プールが使えない」「校庭がない」など、避難先での学校設備が十分利用できない現状を示す回答もあった。

 同会事務局を務める松下行則福島大人間発達文化学類教授(57)は「カリキュラム上の困難は震災や原発事故の被害が大きい浜通りなどで多いと考えられていたが、県北で割合が高い結果となった。放射線不安に伴う影響が大きいのではないか」と指摘する。

 一方、避難している児童、生徒への対応については「避難状況を踏まえて特別の指導をしている」と答えた小中学校は全体の7.7%で、2012(平成24)年度調査の14.9%、前回13年度の13.3%と比べ、ほぼ半減した。

 松下教授は「震災からの時間が経過するにつれ、学校が抱える課題も変化している。これまで比重が大きかった避難児童、生徒への対応に加え、野外活動の制限などを余儀なくされた子どもたちへの対応がより重要度を増す」としている。

 回答率は67%

 調査は震災、原発事故後に子どもたちが抱える問題を明らかにしようと市町村教委や福島大などでつくる「大震災後の福島県の教育復興を進める会」が先月末に報告書をまとめた。分校と私立、国立を除く小、中学校を対象に465校から回答を得た。回答率は66.8%。