【 いわき市・与市 】 「心の旅」...行き先は圧巻スケールの『江戸』

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規格外の広さの浴場には、江戸の情緒を表現した、木造の屋根があり、趣が感じられた

 温泉宿の露天風呂といえば、風光明媚(めいび)な景色を楽しめるところが人気を集めるだろう。いわき市のスパリゾートハワイアンズには、規格外の広さが人気となっている大露天風呂「与市」がある。

 男湯、女湯を合わせると、計約1000平方メートルの広さ。かつてはギネスブックに世界一広い風呂として登録されていた。ハワイアンズがある同市常磐地区の源泉を使用している。与市の名称は、江戸時代の銭湯の開祖といわれている「伊勢与市」から名付けられた。

 1998(平成10)年に開業した大露天風呂は、圧巻の広さの中に江戸の情緒を再現している。開業当時は温泉ブームの真っただ中。ハワイアンズは「他社にも例がないスケールの露天風呂」を建設した。

 取材で訪問したのは小雨が降る日の夜だった。湯につかり、目線を落とすと広すぎる浴槽の向こう側が湯気で見えなくなるほど。幼い頃、家族で訪れ、湯船で泳ぎしかられることがあった。当時の記憶が呼び覚まされ童心に帰りそうになったが、静かに湯を楽しんだ。視界には静かに降りしきる小雨と江戸を意識した木造の屋根が入る。江戸時代の町並みや湯屋をモチーフとした風呂場は、当時を知らなくてもタイムスリップしたかのような錯覚を覚え、雰囲気は最高だ。

 ◆労力惜しまずに

 泉質は硫黄泉(含硫黄・ナトリウム・塩化物・硫酸塩泉)。いわき石炭・化石館ほるる付近をボーリングし湧き出た源泉を使用している。ハワイアンズにある温泉施設の大半は同じ源泉で、毎分3.5トンもの温泉が使用されているというから驚きだ。水素イオン指数(pH)8.1の弱アルカリ性泉は、全身の代謝を活性化。角質を柔らかくし、シミやソバカスの原因となる色素沈着を抑える効能があるとされる。

 与市はハワイアンズ施設の宿泊者向けに朝風呂を提供。午後10時15分の閉館後は、毎日お湯を全部抜き、清掃している。約2時間かかるお湯を抜く作業の後、夜間清掃スタッフが6~8人程度で浴槽を掃除し、翌日の午前3時ごろに終了する。そしてまた2時間弱をかけ、お湯を入れるという。世界最大級の露天風呂を維持するには想像を超える労力が注がれている。

 ハワイアンズは、1966(昭和41)年1月に「常磐ハワイアンセンター」としてオープン。常磐炭鉱の閉山に伴い、常磐地区を温泉による観光のまちへ転換しようと開業し、90年に現在の名称となった。その歴史を支えてきたアトラクションの一つがダンシングチーム「フラガール」。開業当初から人々を楽しませてきたフラガールは夜のステージで輝き、来場者を魅了する。施設内ではメークを落とし、身近な存在になったフラガールを見つけ、言葉を交わすファンの姿も。フラと温泉、さまざまな楽しみ方があるようだ。

 【メモ】与市=ウォーターパーク、スプリングパークなども利用でき入場料は中学生以上3500円、小学生2200円、3歳~未就学児1600円(時間帯と時期で変動あり)

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 【火おこしや狩り体験できる】スパリゾートハワイアンズ付近には、いわきの歴史について学べるいわき市考古資料館がある。同市の遺跡から出土した古墳時代のはにわなどの遺物を展示している。また、旧石器時代~江戸時代に使用されていたとされる土器や木簡、香炉なども見学することができる。年間を通して企画展や講座、体験学習会などが催されている。体験会は、まがたまや、はにわの製作、火おこしや弓矢を使った狩りの模擬体験などができる。7月15日までは、同市での発掘、試掘調査などの成果を公開する「発掘速報展」が開催されている。開館時間は午前9時~午後5時(入館は同4時30分)。元日、毎月第3火曜日は休館。入館無料。

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〔写真〕いわきの歴史を知ることができる市考古資料館