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5 ◇   【07 1/20掲載】
シュネル邸
旧シュネル邸
樹齢300年の古木が生い茂る旧シュネル邸の古川の自宅。いにしえの姿を現代に伝える =会津若松市
第一部
会津娘おけい物語
 風格ある日本庭園/若松に樹齢300年 古木茂る

 若松コロニーを率いたヘンリー・シュネルゆかりの地が会津若松市にある。それは、渡米前にシュネルが住んだ邸宅跡だ。既に家屋敷は建て替えられたが、風格のある日本庭園と古木が当時の様子をしのばせる。おけいの家はその200メートルほど先にあったというが定かではない。

 旧シュネル邸跡の現在の所有者で、建て替えられた家に住む元県議の古川洋一郎は「古い家が残っていたころ、私はその家で結婚式を挙げた。天井が高い昔の造りで、冬はとても寒かった」と振り返る。

 日本庭園には1986(昭和61)年に市の天然記念物に指定された山モミジをはじめ、ひょうたん池やクロマツ、背丈の高い2本のスギの木など樹齢300年を越える古木が生い茂る。かつては高さ10メートル以上の大きなモミの木が目印としてそびえ、松平公がいる鶴ケ城からよく見えたという。しかし、25年ほど前に落雷で折れてしまった。

 ここに古川が住むようになったいきさつは奇遇だ。昭和30年代、シュネル邸を所有する古川の父満の友人が遺産相続問題を抱えて困り果てて、満に相談した。見かねた満が邸宅と土地を購入した。当時は古い家屋敷が残っていたが、その後、雪のため一部が倒壊し建て替えられた。

 古川は取り壊される際に、何か歴史的なものが残っていないかと探したが、あったのは日本庭園と会津藩お抱え絵師加藤遠沢(えんたく)作の「群猿図屏風」一隻。「これが唯一、シュネルと松平容保を結ぶ遺品かもしれない」と古川。現在は、会津若松市の県立博物館に保管されている。

 「たまたま父が購入した縁だが、もともと庭いじりが好きだからね」と言いながら、古川は時間があればせっせと庭仕事に励む。この日本庭園を次世代に伝えることが大切だと思うからだ。「私のように庭の手入れが好きな人なら楽しいが、季節ごとの手入れは正直言って大変。木を切ってしまえば手入れをしなくていいが、歴史に対する価値観も変わるだろう。自分ができる範囲だけでも続けたい」と語る。

 「旧シュネル邸」のうわさを聞きつけ、連絡なしで訪問する歴史愛好者もいる。古川は困惑しながらも、自宅の庭を案内することがある。「おけいさんがアメリカで成功し、ユートピア(理想郷)が実現していれば、この庭が関心を集めることはなかった。その点では時代を超えた『出会いの不思議さ』も感じる」と笑顔を見せる。(敬称略) 

(報道部・藍原寛子)
 


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