映画や舞台に登場/自由な発想で新たな魅力
昨年9月23日。会津まつりの会津藩公行列が会津若松市内を練り歩いた。市長菅家一郎扮(ふん)する保科正之、松平家第14代松平保久扮する松平容保とともに、アイルランド出身の英語指導助手ポリック・ライアンのシュネルと、湊中3年の渡部明日佳の着物姿のおけいが行列の中にいた。
現在、おけいの写真はなく、姿形は想像の世界。それだけに、さまざまなおけいが映画や演劇に登場してきた。
1940(昭和15)年7月の東宝映画「嵐に咲く花」では、女優山田五十鈴がおけい、汐見洋がシュネルを演じた。59年8月には銀座の歌舞伎座で「黄金の丘」が上演された。巌谷槙一脚本、おけい役は女形の梅幸、シュネル役はダグラス・ハモンド。白虎隊も登場して、戊辰戦争の悲劇を描いた。
最近では2003年8月31日と9月1日、会津若松市の會津風雅堂で演劇「おけいの譜(うた)が聴(き)こえる」(作・脚本・菅野謙志、演出・森田時夫)が上演された。「市民参加の手作り舞台」として脚本から出演者まで市民公募の舞台で、観客は2日間で2200人に上った。
50年近く演劇に携わり、演出を手掛けた元教員の森田は「難しい点がいくつかあった。まず、おけいや若松コロニーの資料が少なく、裏付けが取りにくい。物語としては短く、ドラマ性を出す工夫が必要で、登場人物の男女のバランスも考えなければならなかった」と演出上の工夫を語る。
主人公は中学3年の阿部徳代。初舞台だったが、けいこを重ねるたびに輝きを増した。会津で正月に子どものおもちゃとして売られる竹笛「初音(はつね)」が、おけいの感情や物語を表現するモチーフとして効果的に使用され感動を呼んだ。上演当日には、おけいの世話をしたビアカンプ家の子孫フィリップ・ビアカンプも来日して鑑賞した。
森田は「舞台ではけなげなおけいをつくり上げた。ただ、演劇を離れれば、おけいが哀れで仕方がない」と語る。
おけいのイメージを味で表現したお菓子がある。日本一本店(会津若松市栄町)は47年前から、つぶあんとこしあんの「おけいまんじゅう」を発売。素朴な味が長年親しまれている。太郎庵(会津坂下町)はレーズンサンド「おけいの唄」を販売。会津若松市の会津総本店には、背あぶり山を見上げるおけい像がある。
人物像を自由にイメージできることが、それぞれの「おけい伝説」を生み、新しい魅力を加えている。(敬称略)
(報道部・藍原寛子)
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