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赤ちゃんを救え (2006.05.01)
5臓器移植を受け成長する神達彩花ちゃん。母宏美さんに抱っこされてご機嫌=米国・フロリダ州マイアミで 

渡米に賭けた彩花ちゃん/余命宣告 いちるの望み
  「彩花が手をたたくようになったんです。体重も7キロを超えました」。4月下旬、米国フロリダ州マイアミのアパートにいる母親の神達(かんだつ)宏美さん(30)=茨城県常総市=の弾む声が受話器から響いた。
 昨年、全国で募金活動を展開して渡米し、12月に肝臓、胃、すい臓、小腸、大腸の5臓器移植手術を受けた長女彩花ちゃん。渡米直後の苦しい状態、手術後にチューブをつけた様子、抱っこをせがんで甘える笑顔。病気と闘いながら、日に日に成長するわが子の様子を父良司さん(35)は「こんな毎日がうれしい」と言う。2人は、彩花ちゃんと渡米した「あの日」を決して忘れない。
 気温20度。2005(平成17)年12月8日午後3時半。昼下がりのマイアミ国際空港ターミナルには真冬にもかかわらず、避寒地フロリダ特有の暑い日差しが差し込んだ。
 前日の爆弾所持騒ぎで、ロビーには警察犬を連れた警官が多数、巡回していた。それでも冬の休暇シーズンの到来で、観光客は半袖や薄手のシャツにサングラス姿。表情は華やいでいる。
 そこに観光客とは明らかに違う日本人の一団が現れた。厚手のコート、ダウンジャケット。赤いベビーカーに乗った小さな小さな赤ちゃんを取り囲むようにゲートに姿を見せた。
 赤ちゃんは1歳に満たない彩花ちゃん。生まれつき腸の神経が未発達で、消化吸収が十分にできない病気のため日本で余命宣告を受けた。「ラスト・ホープ(いちるの望み)」を求め、多臓器移植を受けようとマイアミにやってきた。慶応病院の星野健医師ら病院スタッフ、良司さんと宏美さんの表情に長旅の疲れがにじむ。全員が無口だった。
 「病気の赤ちゃんです。赤ちゃんのことを第一に考えて」。同行した同病院の移植コーディネーター添田英津子さんの歯切れの良い英語が飛ぶと、搬送スタッフが一行を救急車に導いた。
 外に出ると、彩花ちゃんは日差しの暑さに気付いたのか、頭から掛けられていた毛布を左手で押しのけるようなしぐさをした。
 良司さんは期待と不安が交錯する硬い表情で「何とか、生きてたどり着けました。ありがとうございます。彩花を助けるために、ここに来るしかなかったのです。あとは彩花の生命力と運命です」と一気に思いを語った。彩花ちゃんを乗せた救急車はサイレンを響かせ、「一刻もムダにしない」とばかりにマイアミ大ジャクソン記念病院へ向け猛スピードで高速道路を走り抜けた。
 
 


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