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赤ちゃんを救え (2006.05.04)
 彩花ちゃんを救うために立ち上がった救う会の仲間たち=茨城県常総市・救う会事務局

渡米へ募金活動決意/ただ1つの「助かる道」
  昨年11月初め、神達良司さんと吉沢康一さんが都内のトリオ・ジャパンの事務局を訪ねると、事務局長で設計士の荒波嘉男さん(63)は厳しい口調で切り出した。「募金は生半可な気持ちではできない。死ぬ気でできますか」
 それには訳があった。荒波さんは1986(昭和61)年、胆道閉鎖症の長女里子さんを15歳で亡くした。移植を考えた直後だった。以来「娘の死をむだにしない」と、妻よしさん(61)らと移植啓発や患者・家族の支援を続けている。神達さんの気持ちは痛いほど分かった。
 臓器移植は特殊な医療だ。臓器提供してくれる人(ドナー)がいて初めて手術が受けられる。彩花ちゃんに必要な多臓器は生きているドナーからではなく、脳死ドナーからの提供が必要だ。
重い医療費負担1億円
 しかし日本では臓器移植法で15歳未満の脳死の子どもからの臓器提供は禁止されている。心停止の子どもからは遺族の同意があれば腎臓と眼球、組織(皮膚や骨など)の提供が可能だが、多臓器は不可。米国で子どもの臓器提供が可能なのは、遺族が提供に同意した子どものドナーがいるからだ。彩花ちゃんが助かる道は渡米移植しかない。日本人患者は、米国では「無保険者」で、医療費約1億円は全額負担。異なる医療事情に募金活動、拒絶反応や感染症との闘いもある。多くの困難を乗り越える覚悟はあるのか。
 荒波さんはさらに言葉をつないだ。「人さまからお金と臓器をいただくのだから帰国して終わりじゃない。中傷があっても耐えられますか。どこかでアメリカの子どもが亡くなり、臓器を提供してくれる。下さるものはありがたくいただいていいけれど、無駄にすることは許されないんだよ」
 すると吉沢さんが真剣な表情で言った。「おれたち仲間が支えていきます」
仲間8人議論の末に…
 その夜、茨城県水海道市(現・常総市)に鹿島アントラーズのサポーターや幼なじみ八人が集まった。「なぜ米国に行くのか」「どうして1億円ものお金が必要なんだ」。議論は続いた。そして最後に吉沢さんが口を開いた。「彩花が死んだらおれらもつらい。彩花を助けようよ」。そして「彩花のことで誰一人不幸になっちゃだめなんだよ」。全員が募金活動を決意した瞬間だった。しかし彩花ちゃんの肝硬変と黄疸(おうだん)は悪化し、状態は刻一刻と限界に近づいていた。
 
 


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