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赤ちゃんを救え (2006.05.10)
加藤医師が連れてきたサライちゃんと「対面」する彩花ちゃん

到着後にリスト登載/世界有数の「移植病院」
  神達彩花ちゃんがマイアミに到着した昨年12月8日午後。主治医の加藤友朗(ともあき)医師(42)はマイアミ大ジャクソン記念病院の手術室で生後6カ月の男の赤ちゃんの多臓器移植を執刀していた。
 同大が手がけた多臓器移植は1994年以降、約120件。子どもの多臓器移植は全体の3分の1を移植外科トップで教授のアンドレアス・ツザキス医師、3分の2を准教授の加藤医師が執刀した。世界有数の経験を誇り、各国から来た子どもたちの移植が毎週のように行われている。
表情を緩める加藤医師
 手術が一段落したその夕方、加藤医師は手術着のまま手術室を出た。向かう先は小児移植病棟。泣く力のない子が多く普段は静かな病棟に、聞き慣れない泣き声が響いた。彩花ちゃんだった。「状態は明らかに悪い。しかし不思議なほど力強い泣き声…」。加藤医師は思わず表情を緩めた。
 翌日、彩花ちゃんは移植待機リストに載った。米国では移植待ち患者の状態を点数化する方法を導入。ドナー(臓器提供者)の血液型や臓器の大きさが合った患者の中から、緊急度(点数)の高い順に移植が受けられる。
 多臓器移植は複数のドナーの臓器を移植するのではなく、血液型や臓器の大きさが合う一人のドナーの臓器を移植する。仮に肝小腸同時移植の場合、肝臓のリストでドナーと適合し、そのドナーの小腸を必要とする患者が他にいなければ、移植が可能となる。
 移植は何よりも、遺族がわが子の臓器提供に同意してくれることが前提で、いつドナーが現れるかは誰にも予測できない。現れないかもしれない。米国もドナー不足は深刻で、同病院でも移植待ちのまま亡くなる子どもがいるからだ。
 加藤医師は翌朝の回診で、サライちゃんを病室に連れてきた。「この子は移植を受けて、こんなに元気になりましたよ」。この病院では同じ病気の患者同士の交流が奨励されており「励みになれば」との配慮だった。
「彩花もあんな風に…」
 宏美さんは「彩花も、あんな風に歩くようになれば良いけど」とつぶやいた。
 彩花ちゃんの体調はドナーが出るまで耐えられ、手術も受けることができるのか。同い年ぐらいの赤ちゃんが脳死となり、臓器を提供してくれる事実も受け止めなければならない。「3人で頑張るしかない」。良司さんと宏美さんの表情には複雑な色が浮かんだ。
 
 


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