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赤ちゃんを救え |
|9|(2006.05.12)
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| 麻酔をかけられる彩花ちゃん。看護師や麻酔科医らが手を握り、声を掛けて励ました=ジャクソン病院70号手術室 |
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現れたドナー候補者/10時間かけ5臓器移植
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入院から8日が過ぎた12月16日。クリスマスを前に、小児移植病棟にはサンタクロース姿の警察官や消防士が次々に訪れた。神達彩花ちゃんのベッドは、おもちゃでいっぱいになった。父良司さんは「今日は何だかサンタさんが多いね」とつぶやいた。
「ここ数日がヤマ場」
病室のにぎやかさとは裏腹に、彩花ちゃんの状態は際どい局面に入っていた。看護師らは「ここ数日がヤマ場。絶対に目を離さないで」と、ささやき合った。
その夜。アーカンソー州の臓器調達機関(OPO)から、病院のドナーデスクに一本の電話が入った。「ドナー候補者が現れた」。ドナーデスクは加藤医師ら移植外科とマイアミのOPOに連絡。移植外科は移植チームと摘出チームを編成し、摘出チームが専用飛行機で同州へ向かった。
加藤医師は夜10時30分、良司さんに連絡した。「ドナー候補が現れました。確定していませんが、冷静に受け止めてください」
良司さんと宏美さんが眠れぬ夜を過ごすころ、加藤医師は摘出チームから「臓器の状態は極めて良い」との情報を得、彩花ちゃんの状態も踏まえ、「移植可能」の最終決定を下した。翌17日、臓器到着を見越して午前11時すぎに彩花ちゃんは手術室に入った。
予想通り困難な手術
予想通り、難しい手術が始まった。病気の影響と過去5回の手術で、皮膚や臓器がひどく癒着し、肝硬変で血液が固まりにくかった。いかに大出血をさせず、最小限の出血で抑えるか。それが体重5キロに満たない彩花ちゃんの手術の成功のカギだ。
胃を切り離し、すい臓の後ろにある後腹膜をはがす。腹腔(ふくくう)動脈と上腸間膜動脈を大動脈との分岐点近くで切り離す。この段階で内臓への血流が止まり、命取りともなる大出血の可能性は低くなった。拡大鏡をかけた加藤医師の手元では、数ミリ単位の慎重で繊細で集中力を要する作業が進んでいった。
午後6時前にはドナーの5臓器の移植に入った。臓器と彩花ちゃんの体の大動脈同士、大静脈同士を縫い合わせて血流を再開させた。白っぽかった肝臓はピンク色に、肝機能が悪いため濃い黄色だった尿も薄い色に変化し、移植された臓器が機能し始めたのが確認された。
午後11時、約10時間の手術が終わった。良司さん、宏美さんは彩花ちゃんに声を掛けながら小児集中治療室まで付き添った。
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