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ドナーと家族 14(2006.06.14)
朝子さんが留学したボストン郊外のフラミンガム・ステート・カレッジ

名残す日本人ドナー/朝子さん 留学中に事故
  米国のマサチューセッツ州ボストン。市中心部から車で20分ほどの郊外にフラミンガム・ステート・カレッジがある。創立167年、同州はじめ米国でも歴史ある大学の1つだ。
死後、名誉学位受ける
 大学の歴史に2人の女性の名が刻まれている。いずれも同校で学んだ。1人は1986年スペース・シャトルチャレンジャー号に搭乗、爆発事故で亡くなった数学教師クリスタ・マコーリフさん。もう1人は日本人女性。死後に名誉学位を受けた留学生間沢朝子さん=当時(24)、東京都出身=だ。朝子さんは脳死ドナー(臓器提供者)になった。
 「朝子さんが事故に遭ったようです」と、外務省から都内の間沢さん宅に電話が入ったのは97年6月9日の昼だった。電話を取った二女広子さんから連絡を受け、父洋一さん、母容子さんは急いで自宅に戻った。朝子さんはフラミンガム・ステート・カレッジの留学生だった。
 現地からは「交通事故」「入院中」「重体」と断片的な情報しか入らない。「まずは行こう」と3人は現地へ向かった。現地の10日夜にボストンに到着、空港から入院先の市民病院に直行した。
「脳死」と判断、死亡宣告
 ベッド上の朝子さんは深く深く眠っているようだった。朝子の身に何が起きたのか。事故の様子は、けがの具合は。洋一さんは通訳を通じて、病室に来る10人ぐらいの医師に次々と質問した。質問は100以上に上ったという。
 全員の医師が嫌な顔1つせず、丁寧にすべての質問に答えてくれた。「ヘリコプターで病院に運ばれたので事故の様子は分からない」「自力呼吸はしていない」「後頭部を強く打ち、左の骨盤から左足を損傷している」「脳死判定を2回終え、脳死と診断、死亡宣告がなされた」
 米国では患者の状態を正確に把握して治療をする目的で、深刻な状態に陥った患者には、臓器提供意思やドナー登録の有無にかかわらず脳死判定を行う。専門の医師2人が脳死と診断すると、死亡宣告がなされる。
 朝子さんの額はうっすらと汗ばんでいる。「まだ生きているようだ」「代われるものなら代わりたい」。思いは浮かぶが、洋一さんは何も考えられなかった。冷静な態度で対応する医師。深夜で静けさを増すナースステーション。ボストンに着いてから、どれくらいの時間がたったのだろう。3人には、今が永遠に続く時間に思えた。
 
 


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