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13 |
移植医療の現場 |
|35|(2006.08.30)
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| 「マミー、眠いの」。安心して赤ちゃんのように甘えるケイティ(右)のしぐさに、ムーアさんの表情もほころんだ |
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私費投じケアハウス/里親になったムーアさん
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「私の小鳥さーん、返事してー」「私はここでーす」。9歳の女の子ジェニー(仮名)の声が山林にこだました。
ジョージア州アトランタ郊外。ここに病気と闘う子どものケアハウスがある。静かな木々に囲まれた一戸建ての自宅兼施設「ドリーム・ハウス」に臓器移植を受けた8歳の女の子ケイティと、里親で同ハウス設立者ローラ・ムーアさん一家、ジェニーらが暮らす。
米国は医療費が高額で、保険支払いの上限などから、慢性期患者は退院して在宅治療に切り替えなければならない。しかし家庭の事情で自宅に帰れない子どももいる。ドリーム・ハウスはこうした子どもが家庭に帰るまでの一時受け入れ施設で、ムーアさんと夫らが家族の一員として子どもを迎え、家庭的な雰囲気の中で寝食を共にしながら在宅治療を行っている。病院と家庭以外にも、移植を受けた子どもを支える施設があるのが米国の特徴だ。
ムーアさんは約20年間集中治療室に勤務した看護師。退院後の在宅治療の負担から虐待や育児放棄をする親がいたり、家庭の温かさを知らない子どもを見てきた経験から「病気の子どもを支えたい」と2001年に私費を投じてドリーム・ハウスを設立、賛同した約10人の職員と活動する。
住民にノウハウ提供
事業は多岐にわたる。「地域には病気や虐待の子どもを受け入れる施設やノウハウが蓄積されていない」と、地元住民を対象に子どもの応急処置や在宅治療の知識と方法の普及教室開催、病気の子どもを持つ両親への医療ケア指導も行う。ハウス内の浴室や寝室に移動リフトを設置し、障害のある子どもも受け入れる。運営資金は行政の補助金のほか、バザーやイベントの利益を充てている。
「ケイティは手術後の経過も順調。ここでの生活を楽しんでいるわ」。ムーアさんが目を細めた。ケイティは幼いころから病気で、しかも麻薬とアルコール依存症の母親からひどい暴力を受けていた。虐待の疑いを持った児童家庭局の職員が家を訪問した時、母親に首を絞められていたケイティを発見。危機一髪だった。
臓器移植後、ケイティは胃につないだチューブから一定の時間を計り栄養や薬を取り、ジェニーは糖尿病で、定期的に針の付いた計測器で血糖値を計る。こうしたケアも看護師のローラさんの日常の一こまに自然に組み込まれている。
「マミー、おもちゃで遊んで良いの」。ムーアさんに甘えて尋ねるケイティの表情には、家族の一員としての安心感が満ちていた。
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