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移植医療の現場 37(2006.09.01)
父親からの生体肝移植を受けるため病院に入院している男の子(中央)。加藤(左)、リーバス(右から2人目)両医師らにより、手術前の問診や検査が行われた=カラカスの病院

臓器提供者増加を推進/ベネズエラの「ONTV」
  1997(平成9)年。日本で臓器移植法が施行され、臓器あっせん機関「日本臓器移植ネットワーク」が発足した同じ年の9月、遠く離れた南米のベネズエラでも全国的な臓器提供・移植が始まり、中心の組織「ONTV」が発足した。
 3年前にチャベス大統領が子どもの移植推進を打ち出し、米国フロリダのマイアミ大移植外科が技術支援をしてきた。教授アンドレアス・ツザキス、准教授加藤友朗両医師らが首都カラカスで現地の医師と連携して手術を行っている。
 ONTVは、米国で研修を受けた移植外科医ペドロ・リーバス医師を中心に、臓器あっせん・分配と移植制度などを確立。移植医療定着と臓器提供者(ドナー)増加に取り組む。病院からONTVへの問い合わせや臓器提供の連絡は1日平均2件だが、年間の脳死による臓器提供は数件。首都カラカス西方のマラカイボ大アルフォンゾ・セリザワ医師は「都市と地方の格差、低収入など経済問題から、臓器移植と提供はなかなか進まない」と指摘する。スペインの臓器提供促進策を試験的に導入、現在6人のドナー・コーディネーターを30人まで増やす教育などを進めるが、ここ1、2年は同国と米国の間に政治的問題が横たわり、難しい状況もある。
 子どもの生体肝移植第一例は今から約3年前。胆道閉鎖症と肝肺症候群のマラカイボの8歳の女の子が、義理の父親をドナーとする生体肝移植を受けた。手術は無事成功。加藤医師はキティちゃんの縫いぐるみを手にした女の子の姿に、遠いアジアの母国・日本との不思議な縁を感じた。
 腫瘍(しゅよう)のある肝臓をいったん体外に取り出し、腫瘍だけを切り取って肝臓を戻す「体外肝切除」や、今年2月には38歳の父親の肝臓の一部を胆道閉鎖症の五歳の男の子へ移植する父子間生体肝移植も行われた。
「カサイ」は世界共通語
 日本では脳死ドナーからの臓器の移植よりも、家族間の生体移植が多く行われる。米国でも脳死ドナーからの臓器提供が移植希望者数を下回り、生体移植が増えている。世界に生体肝移植技術を広げた功績は日本人の田中紘一先端医療センター長(元京大教授)ら京大チームだ。また世界中で肝臓の病気、胆道閉鎖症の子どもに行われる「葛西手術」は、東北大の葛西森夫教授が始めた。ベネズエラでも「カサイ」と言えば同手術のこと。「カサイ」はもはや外科の世界共通語。日本の移植医、外科医の技術と努力が、遠い南米の国でも生かされている。
 
 


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