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移植医療の現場 30(2006.08.24)
外来診療室で加藤医師の診察を受ける日本人の移植患者の男性と妻。約30分間に、体調や薬の管理、日常生活に関する内容まで話し、内容は多岐にわたった

日米で違う外来診察/「フリーアクセス」は困難
  ジャクソン記念病院の敷地の一角にあるビル。午前8時、一般病棟とは別棟のこのビル六階の待合室に2、30人が次々に訪れた。全員が採血や外来診療に来た移植患者と家族だ。「いつ手術を受けたの」「体調はどう」。患者同士、気さくな会話が交わされる。
医師は診察室に常駐せず
 大学病院の外来診察の様子は日米で異なる。米国では患者は外来診察を受ける際、事前予約が必要だ。医師や看護師は診察室に常駐しておらず、患者同様に予約時間に訪れる。研修を終えた医師が「アテンディング(出席者)」と呼ばれるのはこうした理由からだ。
 地域医療に関しては、健康保険などの制約で、患者は診療所やかかりつけ医を自由に選べないことが多い。医療費の上限や治療内容も制限がある。国民皆保険と、患者がかかりつけ医を決められる日本の「フリーアクセス」は、世界でも優れた制度だと言われる。
 さて診察室に足を踏み入れると、プライバシーを守るために個室でドアが付いている。室内には使い捨ての紙シートを敷いた診察台や医師が使うゴム手袋、滅菌剤、電子カルテが使えるパソコンが備えてある。
 「遅れてすみません」。小児移植外科の加藤友朗医師が診察室に駆け込んできた。加藤医師は日本人の成人の患者も担当しており、この日は肝臓移植を受けた男性と妻が笑顔で迎えた。
 腹部を触診し、問診しながら電子カルテに症状を打ち込んでいく。患者も電子カルテが見られる場所に座っており、加藤医師は画面を指さしながら説明を続けた。「免疫抑制剤の血中濃度は安定していますね」。この日の診察時間は約30分。平均的な長さだが、1時間を超えることもある。
 肝臓移植を受けた患者は、経過が順調なら成人は手術後2週間ほどで退院する(させられる)。保険の内容と病院の基準で入院が規定されているためだ。さらに移植患者は免疫抑制剤を服用して免疫が下がるため、別の患者や外来者からの感染を予防するためにも、早く退院して在宅治療に切り替えるべきとの医師の判断が示されることが多い。患者は退院後に外来に通いながら、自宅で訪問看護師のケアや投薬を受ける。
情報の共有化を図る機会
 外来診察は医師と患者が情報の共有化を図る重要な機会だ。特に日本人のように外国から来た患者が帰国すれば、米国の主治医が診察する機会は激減する。加藤医師ら米国の主治医は、日本人の患者に対して、帰国前から日常生活上の体調管理の注意点などを熱心にアドバイスする。
 
 


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