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臓器獲得機関OPO 55(2006.12.16)
今年2月にマイアミ大医科大学院で行われた「命の授業」。臓器提供・移植にかかわる人たちが出席して自らの体験を語った  

脳死や臓器提供学ぶ/若者向けに「命の授業」
 「ここが遺体安置所。事件や事故で死亡し、検視が必要になった遺体です」。毎日、平均10体の遺体が届くメディカル・イグザミナーオフィス(検視官事務所)の男性職員が、10代の子どもたちと教師ら約20人を事務所地下の4カ所の巨大冷蔵室の1つに案内した。
 鉄の扉が開くと、中から強烈な異臭が吹き出した。男性職員は、約40体の遺体のうち1体のビニールケースのチャックを開けて中を見せた。鼻と口を押さえて驚き、涙を浮かべる子どももいた。
 米国では10代の若者が拳銃を使った犯罪や、生命にかかわる事件を起こしたり、巻き込まれている。同オフィスはこの対策として、若者向けの「命の授業」学習プログラムを作成した。
子どもたちが遺体を目撃
 学校や地域団体の要望で、大人同伴で授業を行う。子どもたちは、検視官の活動を紹介する映画を鑑賞し、Tシャツがもらえるクイズを楽しみながら、命や健康の大切さ、生と死、交通事故や犯罪の予防、脳死や臓器提供、移植医療を学ぶ。そして授業の最後に、子どもたちは遺体を目撃する。この荒療治は「命を奪うな、失うな」という究極のレッスン。
医師目指す学生対象に授業
 マイアミ大医科大学院でも将来の医師を目指す学生を対象に、また違った角度から「命の授業」が行われた。今年2月、OPOのドナーコーディネーターや移植医、看護師ら医療専門家が、臓器提供の流れや脳死判定、移植医療の最新情報を提供した。移植を受けた患者、臓器提供者(ドナー)の家族も参加、患者や家族の死、臓器提供と移植の体験を語った。患者とドナー家族が隣に座り、それぞれの立場から臓器提供と移植を語った。
 福島医大でも、将来の医師のための命の授業が行われる。生理学、麻酔科、救急科、外科、人文社会科(倫理・哲学)など複数の教官の授業で、病気と医療の関係、臓器移植、脳死と安楽死、尊厳死などを学ぶ。人体機能学概論では、臓器移植法施行前から大阪大の中川米造医師(故人)を招いた授業を行い、大学祭では脳死臨調参与の光石忠敬氏を招いたシンポジウムを開いたこともあった。
 「人体機能学概論1」の責任教官香山雪彦生理学第2講座教授は「『脳死からの回復は不可能で、いずれ心臓死に移行することを知らなかった』という学生は多い。情緒的にとらえるのではなく、脳死を正しく理解すべき」と語る。
 臓器提供・移植や、医療の現場では生と死が交錯する。患者や家族、医師やドナー・コーディネーター、看護師や医学生。すべての人々の協力で、命を支える医療が成り立っている。
=第4部おわり
 
 


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