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3 |
臓器獲得機関OPO |
|42|(2006.11.30) |
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| OPOのドナー・コーディネーターが書く書類一式。ドナー遺族の臓器提供同意書も含まれている
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「誰かを助けるなら」/家族が臓器提供に同意
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OPOのドナー・コーディネーターのジーナ(仮称)は、茶色のセーターに黒いズボンの地味な雰囲気でナースステーションの隅に控えていた。既に脳死に陥ったトム(仮称)の母親と妹に会い、少し話をしていた。ジーナは母親と妹に声を掛けると、病棟から少し離れた会議室に入った。母親と妹が腰掛けるのを見届けてジーナも座り、静かに話し出した。「トムの状態について、医師から説明を受けましたか」
うなずく2人にジーナが問い掛けた。「これから少しプライバシーにかかわることを聞きますけど、良いでしょうか。嫌な気持ちになったらやめますから、いつでも言ってくださいね」
トムの生前の様子尋ねる
ジーナはトムの生前の様子を尋ね、書類に書き留めていった。日常生活の様子や趣味、性格。感染症やがんなどの病歴。喫煙習慣、薬物使用の経験の有無などを質問した。母親と妹は答えながらトムの生前を思い出して大粒の涙を流した。
すると母親は思いがけないことを語り出した。「私の弟も殺されたのです。まさかトムも―」。嗚咽(おえつ)が部屋に響いた。ジーナは書類とペンをテーブルに置くと、床にひざまずいて母親の背とひざを静かになでた。いつ持ってきていたのか、ティッシュペーパーを差し出した。
しばらくして落ち着いた母親は「臓器提供のことなら、分かります」と涙声で話し出した。「臓器提供と移植について、お知りになりたいですか」。2人がうなずくとジーナは静かに説明を始めた。
息子の思い出を話す母親
説明が一段落すると母親は「あの子は優しくて、本当に素晴らしい息子なんです。聞いてくれますか」。ジーナがうなずくと、2人は顔を見合わせながら「トムはねえ―」と子ども時代の楽しい思い出を話し出した。子どもが大好きで、親戚(しんせき)の子どもたちの世話をよくみてくれた話では、泣き笑いになった。トムはドナーカードを持っていなかったが、米国では法律で定めた「家族」の同意で臓器提供ができる。母親は「誰かを助けることができるのなら」と提供同意の書類にサインをした後、ジーナと抱き合った。
母親は「カナダの親族が病院に来るので、お別れを言う時間がほしい」と要望した。駆け付けた親戚が別れを告げた後、トムを乗せた寝台は家族や親族に見守られて手術室行きのエレベーターに乗った。
摘出された臓器を運ぶためにOPOの車が病院を出たのは、まだ暗い午前4時。駐車場を出る車のテールランプを、テレビ局の中継車のライトが照らした。
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