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臓器獲得機関OPO 44(2006.12.2)
マイアミデイド郡を管轄する検視官事務所=フロリダ州(本文とは直接関係ありません)  

虐待被害児がドナー/検視官が死因を調べる
 事件や事故の可能性のある死亡者の死因を専門的に調べる公的機関「検視官事務所」は、OPOのドナー・コーディネーターや病院から連絡を受けて調査に入った。検視官は病理学や法医学の専門医で、医学的見地から赤ちゃんの状態やレントゲン、MRIのデータなどを調べた。その結果、母親の恋人の男が「泣き声がうるさい」と赤ちゃんを強く揺さぶったため頭蓋(ずがい)内出血が起きた「揺さぶり症候群」の可能性が極めて高いと判断した。同時に「臓器提供・摘出は可能」との見解を示した。OPOも病院もこの見解を参考に、臓器摘出に向けた手続きを進めた。
 同症候群は1972年に米国で発表され、90年代に「虐待被害児に強く疑われる症例」として米国被虐待児委員会に発表された。手足や体にはけががないのに、くも膜下出血や網膜出血が起きていたら医師はまず虐待を疑う。
揺さぶり症候群予防訴え
 また、揺さぶり症候群について知らない大人が赤ちゃんを持ち上げて揺さぶり、障害を負わせてしまうケースがあり、米国の病院では小児科や産婦人科の医師が父母に説明したり、パンフレットを窓口に置いて予防を呼び掛けている。
 日本では、15歳未満の子どもの生前の意思表示は認められていないため、脳死での臓器提供は行われていない(心停止では家族の承諾で腎臓や角膜などの提供が可能)。
保護者の承諾で臓器提供
 一方、米国では父母ら保護者の承諾で脳死・心停止の子どもの臓器提供が行われている。では、わが子を虐待で殺害した疑いのある保護者が、亡きわが子の臓器提供を承諾することができるのか。答えはイエス。
 その理由をOPOのソーシャルワーカー、イリアン・フラガさんはこう説明する。容疑者や被告は有罪判決までは「推定無罪(の原則)」。裁判所が親権を停止しない限り、逮捕されても臓器提供の決定権は親権者の父母にある。このためOPO職員が拘置所に父母を訪ね、提供同意のサインを得ることがあるという。
 捜査して容疑者を逮捕する警察、死因を調べる検視官事務所、医療面から安全性を判断する病院とOPO。複数の専門機関や法律家、哲学者がそれぞれの立場で関与し、意見を述べ合いながら、虐待を見逃さず、臓器の安全性を確保する制度の構築を目指しているのも米国の移植医療の特徴だ。
 05年、零歳から17歳のドナーは899人(脳死と心停止)で、ドナー全体の12%を占めた。最多は「頭部外傷」で570人。この中には事件や事故も含まれている。
 
 


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