『医療危機 ’09ふくしまの現場から』TOP
 医学生
【5】―2009.08.04
?医学生
福島医大が開いた説明会に出席した他大学生(右側)
県臨床研修病院等連絡会議 

 県は臨床研修病院や県医師会とともに県臨床研修病院等連絡会議を組織し、研修医の確保に向けた取り組みを行っている。同会議は、東京や仙台市で開かれる合同ガイダンスに向けた情報交換も行う。
第3部
研修医
 
― 県出身者呼び戻せ  ―
  「県内に戻ってきたいと考えているが、まだ決めかねている」。県内出身で県外にある医科大5年の女子学生(23)はそんな迷いを抱えながら7月、福島医大が開いた他大学生向けの初期研修(卒後臨床研修)説明会に参加した。迷いは、母校を心配する気持ちから。「大学に残らないと言っている同級生が多くて…」。世話になった大学に研修医として残り、恩返しすべきかも―とも思い始めている。
 県内16の臨床研修病院は研修医確保に力を注ぐが「県内にいる医学生を取り合っても意味がない」と同医大医療人育成・支援センターの大谷晃司准教授(44)。本県の医師不足を解消するため、同医大や県が注目するのは、県内から他県の医科大に進学した学生たちだ。
 全国から約400病院が参加する臨床研修病院の合同セミナーが東京で7月に開かれ、本県から7病院が参加した。県医療看護課によると、セミナーに足を運んだ医学生ら約1800人のうち7病院のブースを訪れたのは128人で、前年に比べ2倍に増えた。同課は「初期研修制度の一部見直しが行われた影響で学生たちは、より多くの病院の情報を求めたのではないか」とみる。
 「いかに県外の本県出身者にアピールするか」を考える関係者の頭を悩ませているのは、学生の個人情報をめぐる問題だ。
 他県の医科大に進学した県立高OB・OGの情報を扱う県教委は、個人情報の扱いに慎重な立場。県は昨年、「本県出身の医学生の皆様へ」と題した佐藤雄平知事名の案内文を用意したが、送付先の選定に難航した経緯がある。結局、東日本の医学生が集まる体育大会の名簿を入手して県内高校OB・OGを探し出し、所属の医科大に送付するという手間をとった。今年は、県教委が県内各校の同窓会を利用する方法を発案。各校の同窓会のネットワークを使うなどして、案内文を送った。
 「医師として県内に戻ってきてほしいという気持ちは県や医大と同じだが、難しい面もある」。県教委の担当者は、主体的に情報を発信できない歯がゆさをにじませる。
 


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