『医療危機 ’09ふくしまの現場から』TOP
 再編
【4】―2009.11.27
再編
県立大野病院の救急室。双葉地域の救急体制の強化に向けた取り組みが求められている
■県内公立病院の統合・再編 

 県病院局は大野病院とJA福島厚生連の双葉厚生病院を統合するほか、会津総合と喜多方の両病院を統合し、福島医大の付属病院化する。いわき市は総合磐城共立病院と常磐病院を共立病院に統合し、常磐病院は民間移譲する。
第4部
公立病院
 
― 救急体制強化狙う/宿直できる人数を増やす  ―
 
 「今よりも双葉地域内での急患収容率が上がってほしい。統合が良い方向に向かってくれれば」。県立大野病院(大熊町)とJA福島厚生連が運営する双葉厚生病院(双葉町)との統合=2011(平成23)年4月開院予定=に向けた準備が進む中、双葉地方広域消防本部の西村栄一消防課長(55)は、統合病院の救急医療に期待を寄せる。
 昨年度、同地域の救急搬送2400件のうち、43%に当たる1039件は地域外の病院搬送。同地域の救急医療は、隣接する相馬地域やいわき市に依存しているのが現状だ。
 国が2007(平成19)年にまとめた公立病院改革ガイドラインに沿った形で県内で公立病院の統合・再編が進んでいる。
 地域に複数ある病院の役割分担を明確にすることなどが目的だが、大野病院と双葉厚生病院の統合もその一環だ。
 統合・再編などにより地域の病院のありようが変わることに、地域住民の関心は高い。大野病院と双葉厚生病院に関し県病院局の佐竹浩病院経営改革課長(49)は「統合を最初に地元に説明した際は、一方の病院にすべての機能が集約されてしまうとの誤解もあり、反発があったが、今では理解をいただいていると考えている」との認識。同局は両病院に医療機能を残し、大野を救急医療の拠点、双葉厚生を外来診療の拠点としてそれぞれ整備する方針で、特に救急の強化を統合の目玉に据え、地域のニーズに応えたい考え。
 同局は両病院の現在の医師数に加えさらに複数の医師を確保し、宿直できる人数を増やして夜間の救急体制強化を狙う。同局の担当者は26日も福島医大を訪れ、各講座を回りながら協力を求めた。
 西村消防課長は「救急患者は、現在はいわき市の総合磐城共立病院か南相馬市の市立総合病院に運ぶしかない」と話し、脳神経外科医の確保を望むが、同医大では脳神経外科医の人数が限られている。佐竹課長は「一足飛びにはいかない。少しずつ体制を改善していくしかない」と話し、脳神経外科医の確保が課題であることを認める。
 


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