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古紙再生
倉庫に積まれた新聞古紙。バージンパルプが含まれるチラシがポイント=いわき大王製紙
第2部 エコの落とし穴

(6)古紙再生 //リサイクル環境激変//  (08.03.24)
  リサイクルの優等生・再生紙の古紙配合率が偽装された問題は、県内にも波紋を広げた。古紙回収に熱心に取り組んできた子ども会や自治会などまで、あぜんとさせた問題の背景に何があったのか。
 全国の古紙発生量の45%は関東に集中する。首都圏に近いいわき市には、古紙100%の新聞用紙をつくる大王製紙グループの国内唯一の生産拠点、いわき大王製紙の工場がある。偽装問題の背景について、田坂浩明工場長代理は「コピー用紙やはがきは(顧客から)要求されるレベルが高い。競争激化の中、他社に後れを取りたくないという意識が働いたのかもしれない」と言葉少なに話す。
 要求される「レベル」とは、紙の「白さ」の確保。コピー用紙やはがきは、印字の際に文字や絵、写真がにじむと商品として売れないため一定の白さが求められる。
 一方、国や県はグリーン購入法の推進などリサイクル品の積極活用を進める。田坂工場長代理は「(顧客が求める)基準と、再生紙のみで一定の品質(白さ)を確保する技術の現状とに、乖離(かいり)があったのでは」とみている。
 新聞用紙を古紙のみでつくる同社の倉庫には、原料となる新聞紙とチラシが混ざったまま、うず高く積まれている。製造過程を経て完成品として生まれ変わった紙の品質は、古紙だけとは思えない白さになる。田坂工場長代理は「純粋に新聞用紙だけではこの白さは出せない。新聞とチラシの割合は6対4ぐらい。バージンパルプが入ったチラシが含まれているからこそ再生できる」と解説した。
 製紙メーカーでつくる日本製紙連合会の古紙利用率(段ボールを除く)は昨年度38.1%。大王製紙グループの利用率は本年度51%となる見込みで、初めて50%を突破する。
 古紙の利用率が高まるにつれ、回収業界では古紙価格が急激に値上がりしている。
 経済成長が続く中国で、紙の原料となる木材資源が少なく古紙需要が高まっていることも大きな要因。いわき市の古紙回収問屋、溝井紙商の安田友紀専務は「10年ほど前は1キロ当たり10円ほどだったのが、今は倍の20円。中国などの国外向けはさらに5円から8円高い」と話す。
 化石燃料の獲得競争と同様、木材資源をめぐる競争も国境を越え、環境保護と深くかかわりながら世界的規模で繰り広げられている。
   
 


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