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プラスチック回収
プラスチック回収
人力で選別される容器包装プラスチック。捨てる人の知識と配慮が求められる=福島市あぶくまクリーンセンター
第2部 エコの落とし穴

(8)プラスチック回収 //再生製品利用は35%//  (08.03.27)
 福島市あぶくまクリーンセンターの容器包装プラスチック用選別場には毎日、約7トンのプラスチックごみが運び込まれる。同市が2004(平成16)年、約5億円を投じて整備した。選別された良質の容器包装プラスチックは約1メートルのサイコロ状に荷造りされ、日本容器包装リサイクル協会と契約した新潟県の再商品化工場に送り出される。
 石油などが原料のプラスチックを燃やさず、再資源化する方法は、家庭や消費者の理解があれば手軽にできる省資源策として広まってきた。国が容器包装リサイクル法で誘導している。
 しかし、温室効果ガスの排出抑制という視点からみると、手放しでは評価しにくい課題が見えてくる。
 例えば、県地球温暖化防止活動推進センターが注視するのは、ごみ収集時の二酸化炭素(CO)排出と高コスト。ごみ減量で抑制されるCOの量と、リサイクル用収集車を走らせたり、県外までトラック輸送する際のCO2排出量は、どちらが多いのか、明確な分析結果はまだない。
 また、集まった容器包装プラスチックが公園のベンチや模擬木など再生製品に利用されるのは35%(06年度)で、ほかはコークスや鉄鋼をつくる際の原材料、ガス化燃料として利用、CO排出につながっている。
 さらに、回収される容器包装プラスチックはプラスチック製品の約5%にとどまるというデータもあり、ごみ焼却炉の環境対策機能が向上し発電機能も備わる中では燃やした方が、化石燃料の消費抑制に効果的という指摘がある。
 東京都の区部は4月、10区で分別回収を始める一方、13区は収集・焼却を選択する。全量埋め立て処分していた処分場が満杯になりつつあるという特殊事情はあるが、23区一部事務組合の担当者は「選別による品質確保が厳しく求められ、圧縮・梱包(こんぽう)できる業者も埼玉など遠くてコストがかかる」と各区の財政状況を気遣う。
 県内のごみ焼却場で発電機能があるのは福島、郡山(2基)、いわき3市の計4基。容器包装プラスチックについて3市の担当者は「リサイクル継続」で声をそろえる。ごみ減量化の市民意識を高めることを優先したいとの思いから。
 「そのためにも、きれいに洗うなど、ごみ出しのマナーは守ってほしい」。同クリーンセンターの金田彰所長補佐は手作業選別の作業員を思いやる。選別の厳格化で、有効利用できるプラスチックの量も全国的には増加傾向をみせている。=第2部おわり
   
 


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