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『環境’08 ふくしまを守る』トップ

   
 
豊かな海に
豊かな海に
毎年500人以上の町民が参加して行われる浪江町の「森林ボランティア」。森林を守り、育てることは豊かな海づくりにもつながる
第4部 森との共生

(2)水源の森づくり一丸 //浪江で続く広葉樹植林//  (08.10.06)
 「海の栄養は山から来ると思っている。山の栄養でワカメなどの海藻が育ち、小魚が寄ってくる」。浪江町で漁師を営む志賀基明さん(45)は、海の恵みにとって森林がなくてはならないことを、漁を通して実感している。
 相馬請戸漁協請戸支所に所属し、県漁協青壮年部連絡協議会長を務める志賀さんは「水源の山(森林)が豊かになれば、栄養豊富な水がプランクトンを育て、海も豊かになる」との思いから、浪江町で行われている森林づくりのボランティアに参加している1人。操業と重ならなければ、支所の仲間とともにボランティアに出掛け、植林に汗を流す。
 同町は1998(平成10)年から、町民総参加で森をつくる森林ボランティア事業を始めた。毎年4月に行われ、子どもからお年寄りまで500人以上が参加している。太平洋に注ぐ河川の源流部、町西部に横たわる山並みの森林に、ケヤキやヤマザクラなど広葉樹の苗木を植林している。今年は雨天のため中止となったが、昨年までの10年間で植林した苗木は約7万本に上り、総参加者は約5200人になった。
 浪江青年会議所は毎年、森林ボランティア参加を会員の年間事業の一つと位置付けている。同会議所理事長の鈴木徳之さん(40)は「少しの努力だが、子や孫の代につながればうれしい。山がきれいになれば海もきれいになる」と、自らの活動が次世代へつながることに期待している。森林ボランティア事業は、いまでは町のイベントとして定着。そればかりか、同会議所の会員をはじめとした若者や、志賀さんのような漁協関係者が森林づくりに参加するきっかけとなった。
 毎年、同事業の当日になるとバスやマイカー数十台が連なり、植林する山を目指す。町長の馬場有さん(59)は「浪江町は請戸港を抱え、海の環境を守るためにも山に森が必要。活動を毎年行うことで、森をつくり、自然体系を保護する大切さに町民の理解が進んでいる」と町民一丸となった活動を誇る。
   
 


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