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『環境’08 ふくしまを守る』トップ

   
 
木の大切さ
木の大切さ
フー太郎の森基金で森の大切さを訴える活動の象徴「ツリーハウス」
第4部 森との共生

(3)命守る力 教育で訴え //小学生向け相馬で講座//  (08.10.07)
 相馬市の松川浦を望む丘の上の大きなエノキの木の上に立つツリーハウス。NPO法人「フー太郎の森基金」の代表を務める新妻香織さん(48)が植林によりよみがえった北海道襟裳岬の森を訪れた際、森の中にたくさんのツリーハウスがあることに感銘を受け「わたしたちも作りたい」とNPOのメンバーらと製作した。
 携わった地元の大工さんが「鳥の巣みたい」と言ったことから「バードハウス」と名付けられた。壁や扉は廃材、窓はホットプレートのふたでできている。防腐剤を使っていないため床がきしむようになったが、テラスに立つと海からの風と木々のざわめきが心地よい。
 新妻さんは編集者の仕事を辞め、1990(平成2)年から5年間アフリカに移住した。その時旅したエチオピアのラリベラで少年たちにいじめられているフクロウの子ども「フー太郎」に出合った。フー太郎の帰る森を探したが、内戦後の貧困で伐採が進み森がない。アフリカの森をよみがえらせようという思いから帰国後にNPOを設立、99年からラリベラで植樹を開始した。
 新妻さんが重視しているのは教育。現地の学校に環境クラブを設立、子どもたちと種から苗を育て一本一本植樹、これまでに35万本の木を植えてきた。新妻さんは「人を投入して植樹だけしていれば、今ごろ350万本は植えられた。でも、保水する森の役割を分かってもらわなければ、木はまた切られてしまう」と話す。活動を始めたころは1つもなかった現地の植樹団体が昨年は30団体となり、自主的な植樹が進められているという。
 日本でも新妻さんは教育に力を入れる。同基金は相馬市の小学生を対象に公開講座「フー太郎子どもクラブ」を開き、フー太郎の話などを通して環境について理解を深めてもらっている。1年間の講座の最終日には、子どもたちと一緒にドングリの種を植えた。
 「ツリーハウス」は、木の大切さを訴える新妻さんたちの活動の象徴。ハウスの中で新妻さんは「木を植えることは何百年、何千年も生きる歴史の最初に立ち会うこと。経験を通して子どもたちにも木の大切さを考えてほしい」と静かに語る。
   
 


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