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高温の都市部
高温の都市部
猛暑日が相次ぎ、酷暑害も増えつつある県内。都市部では対応が問われつつある
第1部 熱くなるふる里

(4)酷暑被害増加の一途 //気温の上昇 福島市顕著//  (08.01.06)
 福島市は盆地で、昔から夏は暑かったが、さらに暑くなったらさまざまな面での被害が拡大するのではないか」。福島地方気象台防災業務課の関健さんは懸念する。気象台がある福島市は1901(明治34)年以降、気温データが実測値としてそろっている全国36地点の1つで、100年前と比べて平均気温で1.4度上昇している。世界の気温上昇は100年間で平均0.7度、日本は同1.07度ということで、福島の上昇度の大きさが分かる。
 気象庁は、夏の暑さによる熱中症での病院搬送、干ばつによる農作物や家畜への被害が一定以上に達すると「酷暑害」として気象災害に指定する。同気象台に記録が残っている「酷暑害」で最も古い報告は78年7―8月。1万3900ヘクタールに農産物被害を及ぼした。以降、酷暑害の報告は94年、99年、2004年、05年(2回)、07年と頻度が増してきた。特に04年は、7月9日に梁川(伊達市)で最高気温36.5度を記録。7月の1カ月間で県内の約150人が熱中症で病院に運ばれた。ブロイラーが暑さで死ぬなどの農業被害ももたらした。同気象台は「早い時期に気温が急上昇し、猛暑対策が取れなかったのでは」と分析する。
 気温が35度を超える「猛暑日」の日数も、年を追うごとに増加。福島市の最高気温でみると、60年代から70年代にかけては年間10日前後で推移したが、80年代半ばには15日を突破、90年代には20日に達した年もあった。
 都市化が進む郡山市では熱中症による搬送が急増している。記録を取り始めた04年以降、同年の16件に比べ、07年は40件と2倍以上になった。郡山地方消防本部は「昨年夏の郡山市は管内の他地域に比べとりわけ暑かった。予防対策が大事になる」と警鐘を鳴らす。
 福島大の渡辺明教授が同気象台のデータを基に解析した100年間の変動率では、福島市やいわき市小名浜の気温上昇が著しいが、77年以降のデータに絞って試算すると、郡山市は100年間で4.5度上昇という結果が出た。明らかに都市化の影響が見て取れる。
 大都市で問題になっているヒートアイランドは、ビルが太陽熱をため込んだり、オフィスや家庭での冷房の普及で熱が街に放出されることが要因とされる。地球温暖化を招くという森林の減少やエネルギーの過剰消費と根は同じだ。快適な生活を求めることによって生じる現象が県内でも進行しており、対応が問われつつある。
   
 


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