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『環境’08 ふくしまを守る』トップ

   
 
新エネルギー
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33基の風車が立ち並ぶ郡山布引高原風力発電所。風力発電は自然エネルギーの核として普及が期待されている
第5部 環境社会へ

(3)普及へ初期投資課題 //国策として推進不可欠//  (08.12.04)
 猪苗代湖を望む郡山市湖南町の高台に、33基の巨大な風車がそびえ立つ。ダイコンなど高原野菜の産地として知られた布引高原は、昨年2月から国内最大級の風力発電基地に。年間約1億2500万キロワットが発電され、その値は約3万5000世帯分の年間消費電力量に相当、年間約5万1000トンのCO削減効果が見込まれる。
 中山間地の豊かな自然と新エネルギーの最前線を担う風車が混在する高原には今年、20万人の観光客が訪れた。巨大な風車は観光資源の1つになり、地域振興にも成果を挙げる。県内では田村市周辺や会津若松市の背あぶり山でも風力発電事業が計画されている。
 風力発電はCOを排出しない自然エネルギーの代表格だが、1基当たり数億円にも及ぶ建設費や発電施設と電力供給地を結ぶ送電線の設置に膨大な費用がかかるなど課題もある。120億円を投じて建設された布引高原産の電力も東京電力を通じ、首都圏で消費されている。
 また、国策として電力会社に高価で電力の買い取りを義務付けている欧州各国に比べ、日本は電力会社に一定割合での導入を義務付けながらも価格面での優遇は欧州各国と比べ低い。国内の新エネルギー普及の遅れは、採算性を含めた国の姿勢の違いも影響しているとの指摘がある。
 県は、20004(平成16)年策定の「うつくしま新エネビジョン」で、県内の10年度の新エネ導入目標を原油換算で約18万2000キロリットル設定した。1998年度実績の約3倍に相当し、種別内訳は太陽光発電2万8000キロリットル、太陽熱利用5万5000キロリットル、風力発電1万4000キロリットル、廃棄物発電1万キロリットル、廃棄物熱利用1万7000キロリットル、バイオマス熱利用5万8000キロリットル「とした。風力発電は布引高原が稼働したことで目標に大きく近づいているが、一般家庭での新エネ普及につながる太陽光発電は、初期投資の課題もあり遅れている。
 住宅用の太陽光発電には県も市町村とともに補助金を交付し、普及促進に力を入れる。県エネルギー課は「新エネは『費用対効果』を度外視しなければ普及は進まない。やはり国が国策として強力に推進することが不可欠」と訴える。
   
 


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